ラッキードッグ1

ayapon様リク〜イヴァジャン
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【名前の無い日常】


その日、イヴァンとは実に数週間ぶりに顔を合わすと言う事で、俺は少々浮かれていた。
なのに俺の顔を見るなりイヴァンは眦を吊り上げてファックシットを繰り返す玩具の人形に成り果てた。
「ファーーーーック!!!てめぇぇぇ!!また飯食ってねぇだろ!!」
「いって!いてぇいてぇいてぇってイヴァン!」
ガシッと顎を掴んだイヴァンが俺の顔を右から左から下から眺めまくり、最後に何故か隣で書類を作っていたベルナルドを睨み付けた。
正直俺としては後ろ暗い処もあったので、下手な言い訳して墓穴掘るより無言を貫く事にした。
俺と同じくいきなりイヴァンに詰め寄られたベルナルドは、ズレかけた眼鏡を押し上げていつもの笑みを浮かべた。
「ベルナルド!てめぇが一番ジャンの傍にいるんだろうが!何で飯食う時間もねぇスケジュール立ててんだよ!!」
「待て待てイヴァン。俺はちゃんと食事の時間も考慮に入れたスケジュールを組んでるぞ?それを済し崩しにするのは時々雲隠れする我等がカポご自身さ」
「あぁ!?そこを抑えんのが筆頭幹部の役目でもあんじゃねぇのかよ!?」
「無茶言わないでくれ。ジャンの脱走癖とその腕前はお前が一番よく判ってるだろ?どんなに予防してたってフラフラ消えるんだから、どうしようもない。
寧ろお前にこそ言いたいよ俺は。頼むからジャンが抜け出さないようキッチリ言い含めてくれないか?」
詰め寄られながら上手い逃げ道を見つけるもんだと感心する俺の前で、逆に問い詰められる形になったイヴァンは臆したように顎を引いた。
「な、なんだよ・・・それ」
頼むから余計な事言わないでくれよ〜と捧げた祈りは、幸運の女神様にオマケ付きで足蹴にされちまったみてぇだ。
マリア様のお尻ぺんぺんが見えそうだぜ。
「お前がジャンのマネージメントをすればいいだろう?勿論、四六時中一緒に居る訳にはいかないからな。俺が組んだスケジュール通りにジャンが動くように、お前が手綱を握ればいい。
出来るだろ?何しろお前とジャンはCR:5で一番の親友なんだから」
『CR:5で一番の親友』
さすがベルナルドは判ってるなぁと思わずニヤついちまった。
どう言えばイヴァンを操作、もとい懐柔出来るかを判ってる。
「ま、まぁ・・・そこまで言うなら、ジャンの面倒見てやらぁ」
不貞腐れた振りしたって嬉しそうにニヤけてんじゃねぇっての。
見てるこっちまで恥ずかしくなっちまうだろ。
「ああ、よろしく頼むよイヴァン」
「へへ、ま、いくらてめぇが一番旧い間柄たって今はジャンに関しちゃ俺の方がよく判ってからよ、任せとけって。それとだな…」
漸く満足したらしいイヴァンは、再び俺に胡乱な視線を向けてきた。
何!何!今度はなんだ!?
メシ以外で何の文句を言われんだ!?

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