2/4ページ目 「なんだ、まだやってたのか?」 「うわ・・・また来たよ。あんたホント暇だな」 「そんな訳は無いだろう。これでも生徒会長の俺が暇でどうする。特にこの時期文化祭の報告と聖夜祭の準備で忙しいんだ」 「では、2年の教室に足繁く通わずとも生徒会室に詰めていた方がいいのでは・・・」 「(・・・俺も、そう思う・・・)」 「そのつもりだったが、こうも定期的に居残りさせられているとな、つい同じ階の生徒会室に行く前に覗くのが癖になったんだ」 「アシュヴィンはただからかいたいだけでしょ!もう、人の気も知らないで・・・」 「居残りさせられるお前が悪いだけだ」 そうだけど! キッパリスッパリ言い切るアシュヴィンに死角はない。 何故なら彼もまた、生徒会長などと言う重責を負う傍らで常に上位の成績を落とした事はないからだ。 そしてそんな成績優秀な友人や先輩に囲まれながら、優しくも厳しくもある彼等は決して手助けはしてくれない。 必要最低限与えられる助言は、千尋にはとって無きが如しだった。 (本気で泣きたい!!) 思わず机に突っ伏しかけたまさにその時、救世主の声が教室に響く。 「おや?また居残りですか、葦原君」 「か、風早〜〜〜〜!!」 「「先生」」 涙目で振り向いた途端後頭部へ加わる痛みと同時に入る訂正の言葉に、今更になって口に手を当てた千尋はバツが悪そうに上目使いで風早を盗み見る。 「そんな可愛い顔しても学校で呼び捨ては駄目ですと、何度も言ったでしょう?心配しなくても教えてあげますから」 「また、そうやってあんたが甘やかすから何時まで経ってもレベルアップ出来ないんだろ、いい加減止めたら?」 「そうは言うけど、可愛い教え子兼従姉妹が困っていると助けたくなるのが心情でしょう?」 「お前のそれはただの過保護なだけだろう」 すかさずアシュヴィンのツッコミが入り。 「(・・・千尋は、1人でも頑張れば出来る・・・筈)」 少し頼りない遠夜の遠回しな援護が音もなく聞こえ。 「風早殿!お気持ちお察し致しますが、やはり姫の為を思えばこそ、あえて見守るのみに留めるべきではないでしょうか!?」 布都彦の暑苦しい口上が響く。 「だ、そうですよ、ちひ・・・葦原さん」 「そんなぁ〜〜!!酷いよ、皆して!私が物理苦手なの知ってるくせに!」 「苦手だからと人の手を借りていては、一向に克服出来はしない。千尋に少しでも向上心があるのならたまには自分の力のみでどうにかしたらどうだ」 「忍人!・・・先生・・・」 校外の口調そのまま呼び捨てにしてしまった千尋に、忍人の冷たい目が射抜く。 折角の救世主もこうなっては頼りにならないと肩を落とした千尋が、虚ろな視線を窓の外に向けた時。 一瞬目の錯覚、もしくは現実逃避に有り得ない事象を脳内で作り出したのかと思った。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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