1/4ページ目 六限目終了を告げるチャイムが鳴り終わって既に二時間近く。 夕暮れの校庭を眺めながら、葦原千尋は深く溜息を吐いた。 それと同時に、更に深く長い溜息が正面から、小さいクスリとした笑みが右隣から、息を飲む気配が左隣から聞こえる。 「あのさ、溜息を吐きたいのはこっちの方なんだけど。何でこんな簡単な問題も解けないのさ。一応僕と同じ学年だろ、千尋は」 「うう・・・」 「(頑張って・・・那岐の言う事は、気にしないで)」 「ありがとう・・・」 「人は誰しも一度は困難に向き合うモノです!ですが今、それを乗り越えればきっと貴女にも道は拓けます!」 「そ、そうだね・・・」 「布都彦さ、一度はって千尋が課題を解けなくて居残りさせられるの、今月入ってもう5度目なんだけど?ついでに言うなら遠夜は無言で俺を睨むなよ。俺のせいじゃなくて千尋が要領悪いせいだろ?」 サラッと辛口な小言を零しつつ居残りに付き合う那岐と、無言で癒しオーラを放ちながら見守る遠夜。そして聞いていて恥ずかしくなるような声援を送る布都彦。 三人を待たせながら、それでも難解な問題に取り組む千尋は正直泣きそうだった。 (どうして、遠夜も那岐も真面目に授業受けてる訳じゃないのに!!) それはその二人が非常に要領がいいから。 因みに那岐は普通にサボりと居眠り。 遠夜は自然と対話している内に気が付けば授業が終わっているそうだ。 布都彦に至ってはサボりなんて言葉自体彼の意識には植わってはいない。 比較的真面目に授業を受ける生徒であるにも関わらず、何故か壊滅的に物理の成績は悪かった。 感情の読めない担当教諭からあまりの成績の悪さに特別課題を出されてしまう程。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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