1/5ページ目 山崎と千鶴が雪村所縁のこの地に永住しようと決めて、まず最初にした事はこじんまりした家を購入する事だった。 幸い雪村家の廃墟となり掛けた屋敷に残された品々を売り払って金銭的な問題は無い。 あるとすれば、そこに住まう本人達だけだろう。 「烝さん、あまり人里から離れてしまうと大変じゃないですか?やっぱり雪村の屋敷を直した方が良くないですか?」 「いや、それは、そうなんだが・・・」 千鶴に声を掛けられた山崎は、困ったように、眉を顰めて千鶴を見つめた後なんでもないと被りを振って目を反らす。 「あの・・・でも、烝さんが嫌なら今日見つけたあの家でも構いませんよ?少し広い気がしますけど、二人で手直しすればきっと楽しいですよね?」 二人で共に居ようと誓い合い、それを形とする為新居を探し出したのはまだ一週間にもならない。 その間は雪村の屋敷に寝泊りしているのだが、この一週間山崎の様子は今のように何か言い掛けては躊躇し、また物言いたげに千鶴に視線を向ける。 決して不快な視線ではないのだが、さしもの鈍感な千鶴が堪え切れずに問い質すまでそう時間は掛からなかった。 「烝さんっ!」 「・・・何だ、千鶴」 「私に何かおっしゃりたい事、ないですか?」 「無い」 即答ですか! あんな何か言いたそうな視線を寄越しておいて、即答! これには千鶴も納得出来なかったようで(出来る筈もないが)さり気無く視線を反らした山崎の正面に回り込み下から顔を覗きこんだ。 逃げられないようガッチリ両腕を掴む事も忘れない辺り、千鶴も少しは学習したのかもしれない。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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