薄桜鬼

シキ様(狗峨葬様?)リクエスト〜左×千〜
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秋の気配も過ぎて、そろそろ冬支度も始めなきゃねって話していた。
私は物置から火鉢を引っ張り出して、皆さんの半纏の解れを繕ったり洗濯をしたり、いつもと変わらない一日。
そして夜。
少し寒いし上掛けを着込もうか布団に潜り込んで寝てしまおうか、逡巡する私の部屋に闖入者が訪れる。
ガタガタッ!と激しく音をさせて開いた襖から滑り込んできたのは、赤い髪と優しい瞳が印象的な十番隊組長の原田さん。
もう冬支度を始めた外気には、少し酷な薄い着物は見ているだけでも寒そう。
「あ、あの・・・原田さん?」
「・・・んあ?」
入って来てすぐ蹲ってしまった彼に呼び掛けて、暫くして返事はあったけど俯いた顔が上がる事はない。
もしかして、ううん、きっと・・・。
「原田さん・・・酔ってます?」
永倉さんならともかく、私は今まで原田さんが酔ってる処なんて見た事が無かった。
沖田さんに斎藤さん、意外にも平助君に続いてお酒に強い原田さんがこんなになるまで呑むなんて、何か嫌な事でもあったんだろうか?
そう思うと心配になって、私の部屋を訪れたのもそんな理由があるのかもしれないと居住まいを正し原田さんの背中を撫でた。
「あの・・・大丈夫ですか?暖かい白湯お持ちしましょうか?」
「あぁぁ・・・?白湯ぅ〜?」
「はい、お酒を呑まれてると、普段より寒くないですか?これ私のですけど、上掛け着てて下さい。すぐに暖かい白湯をお持ちしますから」
「ちょっと待て・・・なぁんで、白湯、なんだ・・・」
厨に立とうとした私の腕を、顔を上げないままの原田さんが掴む。少し痛むそこに顔を顰めて、いつもより舌っ足らずな口調には笑みが浮かんだ。
「だって、原田さん酔ってらっしゃるでしょう?間違えて私の部屋に入って来ちゃう位ですもん。白湯を飲んで少し酔いを醒まされた方がいいですよ?」
「俺、は・・・酔ってん、のか?」
「え、えぇぇ?だ、大丈夫ですか、原田さん?私の事見えてます?平気ですか?」
「見え、てんに決まってんだろぉ・・・」
漸く顔を上げてくれた原田さんは、何だか拗ねたように口を尖らして、眉尻を下げて私を見返した。
確かに見えてるのかもしれないけど、でもこれは・・・。私が思ってる以上に深酒なのかもしれない。
白湯を取りに行く事が出来ないなら、せめて横になって休んでもらおう。
そう思うのに、腕を掴んだままの原田さんは畳の上に胡座をかいたまま、押しても引いても動いてくれなかった。
「は〜ら〜だ〜さ〜ん!とりあえず、今夜はもう休んで下さい!ね?お部屋までお送りしますから!ほら立ちましょう?」
「・・・嫌だ」
「はい・・・?」


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