薄桜鬼

葛西様リクエスト〜非攻略キャラ×千〜
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一頻り睨み合った後、結局三人で連れ立って町へと繰り出し俺達に、ここでも問題が発生してしまったのは何故だろう・・・。
「千鶴君には淡い色がいいんじゃないかい?こちらの櫛はどうだろう?」
「井上さん、確かに彼女には似合いますが、今の雪村君は男装中です。あまり女性らしい持ち物はどうでしょう?」
「そうは言ってもね、櫛なんて人前で使う事はないだろう?ならせめて可愛らしい方がいいじゃないか。そうだろう?千鶴君」
「え、あ、はい。とても可愛いです。でも、私に似合うかどうかは・・・」
「何を言っている。似合うに決まってるだろう。だが、今の状況も考慮に入れて選んだ方がいい」
「私が選んだんだからね、とても似合うよ。しかし山崎君は意外に頭が固いね」
頭が固いのではなく貴方の選んだ品を彼女に持たせたくないだけです。
なんて本音が言える訳もなく、俺は曖昧に言葉を濁し雪村君の好みそうな品へと視線を走らせた。
ふと目の端を掠めたのは薄紅と翡翠に彩られた櫛。
色合いとして男が持つには若干可愛らしいとも思えるが、変に煌びやかな細工よりスッキリしたそれが彼女に似合うと思えた。
間近に見ようと手を伸ばしたその先で、横から伸びて来た浅黒い腕に掠め取られてしまい思わず眉間に皺が寄る。
「これなんか似合うんじゃねぇの?あの女には」
「貴様・・・!!何故ここにっ!?」
「山崎君、どうし・・・!!!」
「あれ・・・不知火さん?お買い物ですか?」
ここでどっと疲れを感じて脱力した俺を、あんた達は責めるか?いや、責めないだろう?
寧ろ責めないで欲しい。
何故明らかに敵と判っている鬼に昼日中街中で遭遇して、気色食む俺達が間違ってると思わなくてはならないんだ!
頼むからもっと警戒してくれ!
おかしいだろう、その台詞は!!
そう心中で叫んだのは俺だけでは無かったようで、井上さんも渋面のまま彼女と不知火と呼ばれた鬼との間に立ち塞がる。
俺は雪村君を背に庇いつつ、油断無く辺りの気配を探った。
幸い不知火は一人でこの場に現れたようで、風間の姿は見えない。
その事に微かに安堵した俺を嘲笑うかのように、奴はあっけらかんと笑って見せた。
「い〜や?たまたまお前の姿を見掛けたから後を付けただけだぜ?口出すつもりはなかったんだが、どうにも話が纏まりそうもなかったもんで、つい出て来ちまった」
そうなんですか?
なんて、不思議そうに首を傾げている場合じゃないんだ雪村君!!
後を付けられていた事に少なからず衝撃を受けた俺は、呑気に会話を繰り広げる彼女をどう諭せばいいのか混乱するばかりだ。
「で?どうでもいいけどよ、お前は何を買いに来てんだ?櫛か?それとも髪紐か?」
「あ、はい。両方です。櫛はこの前壊れてしまって、結い紐はすっかりくたびれてしまったので・・・」
「はぁ・・・ん?よし、判った。俺がどっちも買ってやるよ。普段風間が迷惑掛けてっからなぁ?」
「そう思うなら物で詫びるのではなくとっとと奴を連れて何処へとなり消えてくれ。それが一番有り難い」
「全くだよ、君。私はそれ程被害を被ってはいないが、聞く処によればその風間とやらは千鶴君を妻にと言ってるそうじゃないか。冗談じゃないよ、彼女は大事な我々の仲間なんだからね」
この件に関してどうやら意気投合した井上さんと俺は、共同戦線を築き目の前の邪魔者を排除しようと試みた。


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