薄桜鬼

知世様リクエスト〜保育日記〜
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千鶴の日記を盗み読み始めて幾星霜。
土方はこの時程その内容に戦慄を覚えた事はなかった。
(風呂・・・!千鶴と風呂・・・!!)
蘇る数々の悪夢を無理矢理記憶の奥底に閉じ込めて、あえて何も見なかったフリで今日も千鶴と風呂に入る。
サッパリした千鶴の髪を拭き、口を漱がせ寝る準備をさせていると平助や新八と言った幹部の面々が風呂から上がって来た。
「左之さんも新八っつぁんもしつっこい!誰が一番とか関係ねぇじゃん!ようは耐久性だろ、耐久性!」
「ほぉ?そんじゃ平助はその耐久性とやらには自信があるって事か?」
「自信とかじゃなくて!標準だって言ってんの!大体そんなの隊務に関係ないし、どうでもいいじゃんか!」
「いや、よくねぇ!!男たるモノ耐久性も膨張率も沽券に関わる大問題だ!!」
「ちゃいきゅうしぇ〜??って、にゃにぃ?」
「うぉ!?ち、千鶴!ま、まだ起きてたのかぁ・・・いや、うん。ふ、風呂場でな!誰が長く顔を漬けてられるかって話だ!うん!!」
実は新八達の言う『耐久性』も『膨張率』も、違う意味ではあったのだが、それをそのまま千鶴に説明出来る筈もなく、苦し紛れの新八の言い訳に千鶴は何故か目を輝かせて頷いた。
それを見ていた土方が、嫌な予感に顔を顰めつつ千鶴を寝かし付けた翌日の入浴前。
「・・・は?」
「きょうね!みんにゃといっしょ、はいりゅ!おふろ!すむととしちゃと、はじめけいしゅけとぱっちゃんと、へいちゃとしゃにょと、ちちうえとげんじぃとかいくんと、ん〜ん〜ん〜・・・おねぇしゃまと!!」
ちょっと待て!
他はともかく最後の人選だけは勘弁してくれと内心で叫ぶ土方達を余所に、どうでどう聞きつけたのか当の伊東が現れた。
「あら、皆さん揃って何のお話?」
「おねぇしゃま!おふろ、ちるとはいろ?みんにゃとはいろ?」
「はい?お風呂?貴女と?いえ、その前に皆とですって?」
その瞬間の一同の心は恐らくかつてない程一つになっていたに違いない。
曰く、『お願い伊東さん断って!!!』
「ご遠慮致します!土方副長と山崎さんもともかくとして!何故私がムサイクサイデカイだけの野蛮人と一緒にお風呂!!キィィィ!!想像しただけでも鳥肌が・・・!!
いい事千鶴さん?玉の肌を無闇に男に晒してはダメよ?今は小さくて仕方ないですけれど、もう少ししたら一人で入れるようにおなりなさいね?
それと、土方副長と三人でだけならいつでもお誘いをお受けしますわ。ではご機嫌よう」
むふふ、と不気味な笑みを扇に隠して去って行った伊東に、心の底から安堵の息を吐いたのは土方だけではなかったろう。
「で、何で急にそんな事言い出したんだ?」
「お前等のせいだろうが!毎回毎回風呂上りにくだらねぇ言い合いしやがって!千鶴が仲良さそうなお前等を見て羨ましいとか思っちまったんだよ!」
あ〜あ〜と納得する面々を前に、満面の笑顔の千鶴はいそいそと皆の分の着替えと手拭を用意し一緒に入る気満々だ。
渋面を崩さない土方を余所に幹部は千鶴との入浴を面白がっている。
そして・・・。


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