2/6ページ目 更に週末。 珍しくデートの約束もなく次の試験に向けてテスト問題を作っていた土方の部屋に、予想外の訪問者が訪れた。 「・・・千鶴・・・?」 「あの・・・こ、こんにちわ!先生・・・!」 突然の訪問者は、教師と生徒の垣根を越えて恋人となった雪村千鶴。 秋の風を受けて赤く上気した頬と、寒さ故か潤んだ瞳で自分を見上げる姿にグラリと理性の箍が揺れた土方だったが、持ち前の意志の強さでもって体勢を立て直し驚愕の固まった思考を巡らせた。 「どうした?よく俺の家が判ったな」 「あの・・・職員名簿で見て・・・あの、先生・・・」 「ああ、ちょっと待ってろ、すぐ用意するから・・・」 「いえ!あの・・・今日は、御飯!作りに来ました!!」 ドンっと目の前に掲げられた食材と、真っ赤になって俯く千鶴。 両方を見比べた土方は、深く長い溜息を吐き出し大きくドアを開けた。 それ程広くも狭くもない2DKのマンション。 新婚夫婦をターゲットにしたこの部屋を買ったのは、今の学校に赴任してすぐだった。 駅からは近く近隣に店も多い割に、住民のほとんどを若い世代が占めているせいか煩わしい近所付き合いもない。 まだ新しいそれなりに使い勝手のいいキッチンには、今部屋の主以外の少女が陣取っている。 白いエプロンを付けて軽やかな包丁の音と漂ってくる旨そうな香りに色々なモノを刺激されながら、土方は今更ながら己の浅はかさを呪った。 (馬鹿か、俺はっ・・・!) 在学中は手は出さないと決めた。 つい先日も新八と左之に宣言した口はまだ渇いてはいない。 なのにわざわざ自分の理性へ挑戦状を叩きつけるように自宅に招き入れ、あまつさえ新妻の如くエプロン姿を見る羽目になるとは夢にも思わなかった。 私服姿の彼女は膝上何十cmだ!と怒鳴りつけたいミニスカートから覗く白い脚をロングソックスに収め、ピッタリしたデザインのロンTは大きく襟ぐりが開いて綺麗な鎖骨を晒している。 高く結い上げた髪が揺れる度に白い項を見せ付けられて、土方の理性も風前の灯火状態。 「美味しくないですか?」 小さなテーブルに並べられた料理に箸を伸ばしながら、知らずに眉間の皺が深くなっていたようだ。 不安そうな声音にシュンと項垂れたツムジが目に入る。 「んな訳ねぇだろ。お前が俺の為に作ったもんが不味い訳ねぇ」 「良かったぁ」 ほっとしたように笑う千鶴を見ているだけで穏やかになれる土方だったが、その心中を脅かすように事件(?)は起こる。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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