クローバー 〜2〜

顔合わせ

旅行は二組ともなんの進展も起こらず幕を閉じた。
たけるは新しい本のために毎日執筆に追われていた。
そんな中、晴子に新しい舞台の話が舞い込んだ。
「本当ですか?」
劇団公演が好評で、晴子はある演出家に気に入られ、大きな劇場で舞台をする事になった。
晴子は今日顔合わせの日である。
「おはようございます。川原晴子です。よろしくお願いします」
メンバーに胸がわくわくした。
「よろしく」
手を差し出したのは、水野大介だった。
「よろしくお願いします。水野さんのこないだの舞台見ました。凄く良かったです」
「ありがとう」
晴子は大介を尊敬していた。
芝居の仕方や、考え方が好きで昔から演劇雑誌でよく注目していた。
「しかも岩田さんの脚本演出……あたし凄い幸せ」
大介は笑った。
「なんかいいね、ういういしくて」
晴子は恥ずかしくなった。
「すみません。あたしも舞台人なのに、なんかミーハーな事言って」
「いいんじゃない?」
和やかな雰囲気の中顔合わせは終わった。
晴子はうきうきしながら家路に着いた。
「おかえりなさい!晴子さん」
「真理ちゃん…ただいま。どっか行くの?」
「夕飯の材料買いに…中矢さん今日仕事遅いんで、作ってあげようかなって」
晴子はにっこり笑った。
「なんかいいね。頑張って」
「はい」
真理は嬉しそうにアパートを出た。
晴子は部屋に入り、たけるに電話した。
「たけるさん?今日行ってきましたよ!」
晴子はたけるに嬉しい気持ちを全部話した。




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