クローバー 〜2〜

志乃

時計は10時を回ろうとしていた。
「勝!俺ちょっと出るわ」
「あぁ…なんかあんのか?」
「ん……ちょっとな!すぐ戻るよ」
勝はたけるの態度に違和感を感じた。
なんだあいつ…
勝はまぁいいかと、真理にメールをした。
「晴子さん!中矢さんが遊びにきていいかって!」
「お風呂も入ったし、いいんじゃない?」
「じゃあ返事しますねぇ」

たけるは1062号室の前にいた。
ピンポーン
扉が開かれると、志乃がにっこり笑った。
「どうぞ」
たけるは部屋の中に入った。
「志乃さん。どうしました?」
「別に、話がしたかっただけよ…あの後、ゆうと会った?」
「いえ…」
「なんか飲む?」
「はい。あっ…酒以外で」
たけるはソファーに腰かけた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
二人は無言のまま飲み物を飲んだ。
「例の子とは、どうなったの?」
「えぇ…少し前から付き合ってます」
「ふぅん」
志乃はあきらかに面白くなさげに返事した。
「じゃああたしの出る幕はなさそうね」
たけるはピクッとなった。
「何言ってるんですか!俺、志乃さんにフラれてますし」
「あはははっ、そうね。でもそれは昔の話じゃない?あの頃はあたしも余裕なかったし…言わなかったっけ?」
たけるは微妙な笑みを浮かべた。
「まぁ、本人に言うのもなんだけど、ゆうがあまりにもたけるの事言うから、どんないい男に成長したか気になるじゃない?」
「そんな…変わらないですよ」
志乃はフッと笑った。
「まぁ今は小説忙しそうだし、注目浴びると変なヤツもたくさん出てくるから気をつけな」
「ありがとうございます」
その後二人は少し昔話や、今の話をした。
「もうそろそろ戻ります。ドラマ頑張って下さい」
すると志乃は、たけるのほっぺにキスをした。
「たけるもね!またね」
「はい…」
たけるは志乃の部屋を後にした。
なんか変な事言われるんじゃないかと思ったが…良かった…
志乃さんはちょっと昔からひとの恋ばなとか好きだったからな…
でも応援してくれるみたいだし、大切にしよう。
たけるは部屋に戻ると勝の姿がなかった。
「あれ?…隣か?」
たけるは隣の部屋に行くと、晴子が扉をあけた。
「たけるさん!遅かったですね!今トランプ盛り上がってるんですよ」
「へぇ……晴子ちゃん」
晴子は振り返った。
「はい」
「好きだよ」
「えっ?やだっ、どうしたんですか?」
たけるはにっこり笑った。
「俺トランプ強いよ!おぅ!俺も入れろよ!」
晴子やっぱりたけるに違和感を感じた。
どうしたんだろ…?




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