クローバー 〜2〜

部屋

晴子はルンルン気分で車から降りた。
「うわぁぁ!綺麗な所ですねぇ!」
「そうですね…」
「もう!真理ちゃんったら!最初テンション上げすぎて疲れたんじゃない?」
『いえ!あなたのせいです!』
とは、口がさけても三人は言えなかった。


「じゃあまたあとでね」
「荷物置いたらここで」
晴子と真理は楽しそうに部屋へ入った。
部屋から見る景色はとても色鮮やかで、街並みの明かりが幻想的なものに見えた。
「きれー……」
荷物を置いた真理も窓の外を眺めた。
「本当ですね…」
晴子はにっこり笑って真理を見た。
「来て良かったね」
「本当ですね!それにこれからは美味しいご飯が待ってますよ」
晴子はにっこり頷いた。
しかし隣の男部屋はなんとも言えない空気に包まれていた。
「なぁたける?」
「なんだよ」
「この組み合わせなわけ?」
風呂場を覗いていたたけるは振り返った。
「なんか言ったか?」
勝はベッドの上に立った。
「俺等!彼女と旅行にきてんだよ」
たけるは椅子に腰かけた。
「まぁそうだな」
「だからなんでだよ!」
「何がだよ」
「普通、俺と真理ちゃん!お前と晴子ちゃんだろうよ!」
たけるはため息をついた。
「よく考えろよ。このメンバーだぞ」
「いやでもさぁ!なんで晴子ちゃん部屋入った後、なんの疑いもなく同じ部屋入っちゃうわけ?『中矢さんと同じ部屋…でも恥ずかしいっ』て感じで、ちょっと赤くなりながら俺に視線を送るとかぁ!」
たけるは立ち上がった。
「ない」
勝はがっくりベッドに腰かけた。
「なかったねぇ、普通だったねぇ、普通に入っていったねぇ」
たけるはふっと笑った。
「まぁ一泊二日じゃないんだし」
「だよな!だよな!」
「そんな事ばっか考えてるとあの子なら帰るとかいいかねんだろうが」
「だよなぁ……でもたけるだって、晴子ちゃんと同じ部屋のがいいだろ?」
たけるはあの夜の事が思い浮かんだ。
「いや……俺はいいよ。怖がられても気まずくなるし」
たけるの言葉にピンときた。
「たけるぅ?」
ニヤッとした顔で勝はたけるを見た。
「なんかしちゃったわけですかぁ?だからずっと会わなかっ、いや、会いずらかったとかぁ?」
「ちっ、違うよ!」
「怪しいなぁ、おい!」
「うるさい!行くぞこらっ!」


「二人とも遅いですね」
「だね…先行っちゃう?」
真理は下の階のボタンを押した。
「お腹空きましたし!」
「だね!」
エレベーターが到着し、エレベーターが開いた。
「あっ…」





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