クローバー 〜2〜

深夜

二人は昔話に花を咲かせた。
「じゃ初恋は近所のおねーさんだと思った、おにーさんなんですね!ウケるっ」
「小学生だよ?優しいお姉さんでさっ、いやお兄さん?」
晴子は床をバンバン叩きながら笑った。
「で!で?」
二人は夜中まで下らない話で盛り上がった。
「あぁ…おっかしい!あっ、と、トイレ…」
晴子はフラフラになりながら立ち上がった。
「晴子ちゃん危ないよ」
晴子はよたっと、たけるの胸に倒れた。
「大丈夫でーす」
晴子は半分酔っているので何も気にせずトイレに入った。
しかしたけるは全然酔ってなかった。
酔えなかった。
片想いして、やっと付き合い初めて……
酔ったら酔ったで勢いで…
いや、そんなことしたら何言われるか…
携帯がまたなった。
たけるは携帯を見るとやはり志乃だった。
なんだろ…
たけるはトイレの方を見た。
しばらく携帯を見つめていたが、電源をオフにした。
「おまたせしましたぁ」
フラフラの晴子は上機嫌でベッドに倒れ込んだ。
「晴子!もう飲めないです♪」
晴子は酔った勢いでちょっと勇気を出した。
「たけるさん♪」
「ん?大丈夫?」
「大丈夫でぇす♪それよりぃ…」
「それより?」
「キスしてください!」
晴子は恥ずかしげににっこり微笑んだ。
たけるは優しく晴子に近づいた。
晴子は半分勢いで言ったものの、たけるが近づいてくると、緊張してしまい、体がすくんでしまった。
「やっぱ…」
たけるは晴子におおいかぶさるようにして言った。
「ダメ?」
「あの…」
晴子は恥ずかしくて目線を合わせる事が出来ず固まっていた。
そしてそっと視線をたけるに合わせた。
優しく微笑むたけるに胸がキュッとし、たけるの腕を掴んだ。
たけるはゆっくりと近づいた。
唇が重なるか重ならないかまで近づいて優しく言った。
「するよ」
「ん…」
ゆっくりと唇は重なり、目をあけ晴子はたけるを見つめ、また目を閉じた。
たけるは晴子の胸に手を伸ばした瞬間、晴子の体がこわばるのがわかった。
唇をはずし、たけるはちょっと照れながら言った。
「ごめん…」
晴子はどうしたらいいかわからずただ恥ずかしそうにたけるの洋服を掴んでいた。
たけるは体をお越し、ベッドに腰かけた。
「たけるさん」
晴子も体を起こした。
たけるは明るく笑いながら言った。
「もう3時になるし、部屋で寝るよ」
「はい」
たけるは立ち上がり扉へ向かった。
そして扉をあけ振り返った。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
バタンッ
扉をじっと見つめていた晴子は、恥ずかしさが込み上げてきた。
あたし…




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