クローバー 〜1〜

相談

気付いちゃいけないものに気付いてしまった…
真理は考え事しながら外に出ようとすると、前から物凄く真剣な顔をした勝が歩いてきた。
ドキッとした真理は、思わず隠れた。
あんな顔もあるんだ…
「真理ちゃん何してるの?」
「へっ?」
後ろをみるとたけるだった。
「あっ、やっ、天気いいし出かけようかと…」
「あっ、じゃあたまには一緒に散歩でもする?」
下田さんと散歩…
ちょっと中矢さんの事、聞こうかな…
「はい。いいですよ」
二人は外に出て、公園に歩き出した。
「本当いい天気だよね」
「そうですね」
……どうやって、切りだそうかな。
『あの…』
二人同時に話始めた。
「中矢さんから」
「真理ちゃんから」
二人で顔を見合せた思わず吹き出す。
「じゃあ俺からでいい?」
「はい、どうぞ」
二人は公園に入りベンチに座った。
「あのさ……あぁ、うん。いざ言うとなるとなぁ」
「いいにくい事ですか?」
「実は……」
たけるは真理を見た。
まっ、まさか下田さんあたしの事…?
どうしよう、中矢さんの事で相談しようかと思ったのに…
「俺…」
「はい…」
「なんか!晴子ちゃんの事好きになっちゃったみたいなんだ!」
………やだっ、勘違いしちゃった。
「あっ、そう、そうなんですかぁ……って、えっ!!」
真理は思わず立ち上がった。
「真理ちゃん、驚きすぎだよ…まぁ普通は驚くか」
真理はまた座った。
「いつからですか?」
「いつからって…」
たけるは、よくよく自分を振り返っていた。
初めて会った時の笑顔。
公園で、見つけた四葉のクローバー。
いい作品が書けるかと持ち帰ったのに、あの笑顔に思わず渡していた。
いつもいつも元気で可愛らしい笑顔。
癒されるように感じていた。
見つめ会った瞬間の少し恥じらうような目。
目をそらした表情が凄く、いとおしく感じた事。
あきらかに意識して、常にさがしてる自分。
全て話した。
「下田さん…」
「何?」
「気持ち…わからなくないです。あたしも気付いちゃったみたいなんです」
「何を?」
「……中矢さんの事…」
「勝…?」
真理は頷いた。




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