クローバー 〜1〜

意識

「ごみ袋…」
ごみ袋!?
たけるは、晴子の体を越えた所にあるごみ袋を手にした。
「まとめて出しておくからいいよ!晴子ちゃん疲れてるだろ?おやすみ」
「おっ、おやすみなさ〜い」
晴子は自分の部屋の扉をしめた。
ごみ袋取ろうとしたのに、あたし何勘違いしてんの!?
今キスされるかと思ったよ…恥ずかしい…
晴子は自分を流そうと、風呂場に入った。

一方たけるはたけるで頭を抱えていた。
「俺…ヤバい」
一瞬晴子の顔を見て、キスをしようとしたが、そこまで度胸がなく思わずごみ袋を手にしたのである。
「情けない俺…と言うより俺…」
好きになってる!?
晴子はシャワーを浴びテレビを見ていると、すっかり先ほどの事は忘れていたが、たけるは布団の中で、寝返りを繰り返すが、寝つけはしなかった。
朝、あんまり眠れてないたけるは、散歩に出てリフレッシュしようと考えた。
扉をあけた瞬間、向かいの部屋の晴子も扉をあけた。
「おはようございます、たけるさん!早いですね」
たけるは目を合わせないように答えた。
「あぁ、おはよ。散歩しようかと思って」
晴子はたけるの態度に違和感を感じた。
「そうですか。あたしは来週から稽古あるらしいんで、体力作りしようかと、走りこもうかと」
「へぇ」
乾いた笑いの中、二人は玄関を出た。
「俺公園行くよ。じゃあ」
「はい…」
晴子はたけるの歩いている姿をずっと見つめていた。
あたし何かしたっけ?……
俺何してんだよ!!……
『調子狂うな…』
二人は別々の場所で同じ言葉を言っていた。




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