クローバー 〜1〜

仲間

あたし…ヤバい事した?
そんな場合じゃない!
頑張らなきゃ!
「これを。5分間で覚えて演技してもらいます」
あれ?まさにこれって……

「晴子ちゃんおかえり!どうだった?」
たけるが玄関で話かけると、奥から真理も顔を覗かせた。
「おかえりなさい。どうでした?」
うつむく晴子。
その様子に、たけると真理は顔を見合わせる。
その瞬間、外から勝が帰ってきた。
「たっだいま―!おっ?晴子ちゃん?どうだった?うまくいったかぁ?」
その言葉に慌てて、たけると真理は勝を止めようとした。
「えっ?えっ?何?もしかして!」
「あぁぁぁぁ!」
たけるが止めようとした瞬間!
静かに晴子は右手をあげた。
三人が見上げると、晴子の右手はしっかりピースサイン!
「みんなぁ!受かったよ!!!ガラクタ!受かったよ!」
その言葉に三人は顔を見合せ、晴子に飛び付いた。
「驚かせるなよ!」
「良かったですね!」
「晴子!すげー!」
合格した事ももちろん嬉しかったが、なにより皆の笑顔が嬉しかった。
「皆!ありがとう!皆のおかげかも!!」
夜はまたもや宴会と化した。
酔いも回り、晴子は語り始めた。
オーディションで与えられた役は、友達と仲良くなるシーンだった。
知り合って、よそよそしい所から最後は意気投合するワンシーン。
まさにここにきた自分。
よくわからない土地にきて、知らない人達と出逢ったが、こうして自分の成功を喜んでくれる人達。
まさに晴子そのものであった。
「だから…演技って言うよりあたしそのものだったんだけどね…」
「何言ってるんだよ!自分を演じる方が難しいと思うぞ!」
「勝、いい事言うよ!俺も小説書く時自分に似てても、自分以外じゃねーと無理だよ。違うからこう客観的に見えるのであって、本来の自分自身と考えると」
「はいはいはいはい!ストップ!今日も遅いです。このへんで今日は終わりにしませんか?」
皆はまるで小学生のように手をあげ返事をした。
「じゃあ解散と言うことで」
全員わらわらと片付け、いつもの百合の部屋となった。
「本当…ありがとうごさいます」
晴子は笑顔で、頭を下げた。
「晴子ちゃん…」
たけるは晴子の方に手をおいた。
たけるは、晴子に近づいて…




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