クローバー 〜1〜

距離

「じゃあな!」
たけるは子供達に手をふった。
「たけるさん楽しそうでしたよ」
「俺子供好きなんだよなぁ…あいつまだふってるよ」
晴子はそのたけるの笑顔を見て、晴子自身も嬉しくなり笑顔になった。
「ごめんね、晴子ちゃん」
「いえ、大丈夫です。もうその笑顔だけで充分です」
「へっ?」
「なんでもないです。なんでも…」
二人は見つめあいにっこりと微笑んだ。
「送るよ」
「はい」
二人はアパートへ向かい歩き出した。
二人の距離は微妙で、お互いが手を繋ぎたいなって思いつつ、目が合う度笑いあった。
「すみませんっ!本当なら普通にご飯食べませんかっていいたい所なんですけど…」
晴子は自分の服装を見た。
「また今度行こうよ。ね」
「はい……たけるさん?」
「ん?」
晴子は聞いていいのか迷っていた。
送るって事は…
アパートには戻らない?
「何?晴子ちゃん?」
「や……なんでもないです…あっ」
着いちゃった…
「じゃあ…」
本当に送るだけなんだ…
「はい…」
たけるは振り返り歩き出そうとした。
たけるさん…
だがたけるは止まった。
そのまま振り向かずに言った。
「夕飯……ご馳走になってもいいかな?」
晴子は胸がキュッとし、思わず手を握りしめた。
「はい!」
たけるは照れながら振り向いた。
「ありがとう」
二人はアパートへと入って行った。




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