クローバー 〜1〜

夕陽に照らされ

「失礼しまーす」
晴子は微妙な距離の隣に座った。
「夕方なのに人いないですね」
「そうだね」
二人はぼんやりと夕日を眺めた。
たけるは晴子をじっと見つめた。
「晴子ちゃん」
晴子はゆっくりとたけるの顔を見た。
「…はい」
たけるはじっと見つめていたが、急に吹き出した。
「ごめん。髪の毛が」
晴子は頭を抱え込んだ。
「あぁ、本当にヤバいですよねあたし」
「だって昨日公演だっだから仕方ないよ。別に俺なら何時間でも待ったけどね」
その優しい笑顔に晴子は言葉を失った。
「あっ…あの…」
「ん?」
たけるはずっと優しく微笑んでいた。
「好きです…」
晴子はハッとした。
思わず口から出ていた。
「あっ、やっ、今のは」
晴子はパニクってしまい、ジャングルジムから落ちそうになった。
「危ない!」
たけるは腕を引き寄せ抱き寄せた。
晴子はたけるの胸の中で「助かったー」と安堵感に浸るも、胸の中にいる事を思い出した。
「あたし、ごめ」
言葉途中に晴子は体を放そうとしたが、たけるはきつく抱き締めた。
「たけるさん…」
たけるは晴子の耳元でいった。
「今のは本当?」
「えっ…」
晴子はたけるの背中に腕を回して抱きついた。
そして小さな声で言った。
「本当です」
その声を聞き、たけるはさらに抱き締めた。
「ありがとう」
するとジャングルジムの下から声がした。
「うわぁー抱き合ってる」
「チューするぞ、チュー」
二人は一瞬で離れ下を見ると、子供達が集まって見ていた。
「やだっ、恥ずかしい」
晴子は両手で顔をかくした。
「お前ら、見せ物じゃないんだから、ガキは帰れ!」
「怒った、怒った」
「わーー!」
「抱き合ってたぁ!」
たけるはジャングルジムから飛び降り、笑いながら子供達を追いかけた。
「こーらっ、捕まえてやるからなぁ」
「鬼だ!鬼!」
「キャー!」
子供達と遊ぶ様子を晴子は少し恥ずかしげに微笑ましく見ていた。




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