クローバー 〜1〜

女の修羅場

ゆうは晴子の部屋を見渡した。
「あの、話ってなんですか?」
晴子は振り向きゆうに問いかけた。
「単刀直入に聞くけどあなた、たける君の事どう思ってるの?」
「えっ…」
晴子は急に聞かれ戸惑った。
やっぱりこの人はたけるさんの事が好きなんだ…
「どうなの?」
「どうって…好き……好きです」
まっすぐゆうを見た。
「…そう。じゃあなんでたける君にあんな表情させるわけ?」
「どういう事ですか?」
「志乃は本気でたける君をモノにするって言ってるのよ?好きなら何ぐずぐずしてんのよ」
「たけるさん自身がここを出ていったんですよ?そりゃ……近くにいたいですよ…」
ゆうは晴子を平手打ちした。
「もう見ててムカつくのよ!ゆうが昔からずっとずっっと側にいたのに!急に現れて!」
「いったー……何するんですか!」
晴子もゆうの顔におもいっきり平手打ちをした。
「何すんのよ!明日も仕事あるのよ!」
「知らないですよ!あたしも舞台公演あるんですよ!自分から殴っておいて!なんですか!」
「なんですって!?あんたなんか志乃に負ければいいのよ!どうせたける君はずっと志乃の事好きだったんだし!」
ゆうの携帯がなり、キレ気味で電話を出た。
「はい?……あぁ!はい!ゆうです!はい……わかりました!はぁい、お疲れ様です」
ゆうは携帯を無表情できった。
「とにかく、ゆうはたける君のあんな顔見たくないの!本当知らないから!本当ならゆうが奪って…」
せつなげ顔で晴子を見、泣きそうな顔になりながら部屋を出た。
晴子はゆうの表情を見て苦しくなった。
凄く…好きなんだ…
あの森口志乃が、たけるさんの事…
それにたけるさんが、好きだった…
晴子は平手打ちされた頬に手を当てた。
「あつい……」
洗面台で自分の顔を見た。
あたし…泣きそうだ。
タオルを水に濡らし、泣きそうになるのを堪えながら冷やしていた。




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