クローバー 〜1〜

しちゃった

樫本…ゆう…
そうだ!
この人と雑誌に…
「あの、川原晴子さん?ですよね」
「はい…」
「いいですか?」
ゆうは手でくいっと外をしめした。
「いや、もし宜しかったら、うち…どうぞ」
「あぁ!…じゃ」
晴子は二階に案内しようとした。
すると部屋から勝が出てきた。
「あぁ!」
思わず勝は大きな声を出した。
ゆうも勝に気が付き、その後ろを歩いていた真理も思い出した。
「ごめんね、あん時は…」
ゆうは勝に頭を下げた。
「いやっ、別に、むしろラッキーっていう…か…」
勝は真理の顔が視界に入った。
「あれ?ヤバ…い?」
「すみません、じゃあ」
晴子とゆうは二階へ上がり、部屋へ入った。
「真理…ちゃん?」
真理はあきれたように勝をじっと見た。
そして棒読みで言った。
「良かったですね」
「真理ちゃん?いや、俺好きなの真理ちゃんよ!そこん所誤解ないように言うけど!でも、ほらあんな可愛い子にキスされたらさ、やっぱ正直ちょっと嬉しいじゃない?っていや、そりゃ真理ちゃんとするのが…って俺何言って」
真理は、あまりの動揺ぶりを見て今度はムカつくより笑いが込み上げてきた。
「ブッ!あははははははっ、何言ってるんですか!」
その笑い顔を見て勝も笑った。
「あははははははっそうだよな」
「いや、あなた笑う所じゃないですから」
真理は無表情で答えたが、顔を見合せまた笑った。
「とりあえず…あたし部屋に入ります」
真理は自分の部屋の扉をあけた。
勝は真理の肩をつかみ、振り向かせた。
「あっ…」
真理は目を閉じれないくらいあっという間にキスをした。
「しちゃった」
勝は照れくさそうに言った。
真理は一瞬わけがわからず、勝の顔を見上げ、恥ずかしさが込み上げてきて顔が真っ赤になった。
「あっ…」
真理は唇をおさえ、もう一度勝を見上げた。
「ん?」
勝は優しく微笑んだ。
真理は目をあわせられなくいいはなった。
「こないだの事!もう忘れたんですか!」
バタンッ
真理は扉をしめた。
真理は唇を押さえたままそのままうずくまった。
「キス…しちゃったよ」
真理は恥ずかしさのあまりその場で頭を抱え込んだ。

「どうぞ、入って下さい」
「すみません」
バタンッ
晴子はゆうを部屋へと入れた。




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