クローバー 〜1〜

友達としての

晴子の熱はその後3日間続き、元に戻るまでにさらに3日かかった。
その間真理が看病を続け、勝も買い出し等手伝った。
その約一週間の間にたけるはアパートを出た。
解約というわけではなかったが、荷物のほとんどを持ち出した。
晴子はあの日から喋らなくなっていて真理は心配していた。
「晴子さん、じゃあ明日からもう大丈夫そうですね」
晴子は力なさげに微笑んだ。
真理は晴子の部屋を出た。
晴子さん…
階段を降りると勝がいた。
「どう?」
「はい…」
真理もどう答えていいかわからなかった。
「あたし…わからないです」
「何が?」
「だって、晴子さんは下田さんの事好きだって見たらわかるじゃないですか!下田さんだって、晴子さんの事好きなはずなのに、なんで出ていっちゃうの?あたしにはわからないです…それとも大人は皆そうなんですか?」
真理は泣きそうになりながら、勝に問いかけた。
「難しい問題だな」
二人は玄関に腰をかけた。
「なんでっ…」
真理はこらえきれなくなった。
勝はそっと真理の肩を抱いた。
「たけるもちゃんとわかってるよ。ただ…ちょっと軸がずれちゃったんだよ。でもきっとどうにかなるよ」
「本当ですか?」
真理は泣きながら勝の方をむいた。
「どうにかならなかったとしても、俺がどうにかなるように頑張るよ。二人とも大事な友達だしな。……真理ちゃんが泣いちゃダメだよ。今晴子ちゃんにとって、真理ちゃんが支えなんだから」
勝は手で真理の涙をぬぐった。
「そうですよね。あたしが泣いてちゃダメですよね」
真理はにっこり笑った。
その笑顔を見て、勝は真理にキスをしようとした。
「あっ」
それに気付き真理は顔を背けてしまった。
「ごめん」
勝は思わずキスしようとした事にたいして謝った。
「ごめんなさい」
真理も謝った。
「嫌じゃ……ないんです。でも晴子さんが大変なのに……なんか」
勝は肩を抱いてた腕を外し、立ち上がり伸びをした。
「ん…あぁっ……だよな!ごめん!もう少し我慢するよ」
「えっ、いやっ、その」
真理もあわてて立ち上がった。
勝はその様子を見て笑った。
「いいよ、別に。晴子ちゃん所、戻ってあげなよ」
真理は頷いた。
「ですね」
真理は廊下を歩いて行き、階段を上がろうとし振り返った。
「あたし、中矢さんの事、やっぱ好きですよ」
そう言われ、勝は笑った。
「俺も真理ちゃんの事好きだよ」
二人は笑いあい、真理は階段を上がった。
真理の姿を見送ると勝の表情が険しくなった。
「たけるのやつ…何考えてんだ…」
勝は険しい表情のままずっと外を眺めていた。




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