クローバー 〜1〜

風邪

熱が出た…
稽古いかなきゃ…
あれ?なんか…
晴子が気が付くとベットの上にいた。
「大丈夫ですか?」
声の方を見ると、真理だった。
「真理ちゃん…」
真理の背中越しに時計が見え飛び起きた。
「稽古!」
真理は晴子の体をおさえた。
「大丈夫です!大丈夫ですから!……寝て下さい」
「大丈夫って?」
真理は気まずそうに答えた。
「ごめんなさい。借りてた本返そうと思ったんですけど、いつもの時間に降りてこないから……」
「あっ、うん」
「それで、悪いと思ったんですけど、かなり熱があってやばそうだと思ったから、劇団の方には連絡したんですけど…」
晴子は天井を眺めた。
「うん…ありがとう…なんか言ってた?」
「熱下がったらすぐにくるよう伝えてくれって」
「そっか…」
役…おろされるかなぁ…
晴子の無理をしてる笑顔に真理は不安になった。
コンコン
「入るよ」
勝の声がした。
扉をあけ真理は、勝と声はよく聞こえないが、話してる姿を見て、なんだか微笑ましく感じた。
仲直り…したのかな?
晴子は晴れた空を見ながら最近の事を振り返っていた。
そういや最近ゆっくり寝てなかったな…
扉がしまる音が聞こえ、真理は晴子に言った。
「少し何か食べませんか?少し前にお粥作ったんですけど」
晴子は微笑み体をおこした。
「ありがとう」
真理の後ろ姿を見てなんだか柔らかい気持ちになった。
真理がお粥を運んできてくれたのを見て優しく微笑んだ。
「ありがとう、本当に」
「やだっ、あらたまって言われると照れますよ…はい!どうぞ」
晴子はお粥をゆっくり食べ始めた。
「勝さんとは…」
真理は恥ずかしそうに言った。
「実は、あの話はしてないんですけど、晴子さんが倒れてるのみて、思わず向かいの下田さんじゃなく中矢さんに助け求めちゃいまして」
「そうなんだ」
「中矢さんがほとんど指示してくれたんですけど…」
真理の女の子の顔にもう大丈夫だなと確信を持った。
晴子は真理の手を握った。
真理は晴子を見て微笑みかけた。
晴子も無言で頷いた。
コンコン
また扉をたたく音がした。
「はい」
真理は立ち上がり扉をあけるとたけるだった。
「大丈夫?」
たけるは晴子に話かけたが、志乃の事を思いだし顔がこわばった。
真理はそれに気付かずたけるに話かけた。
「あたし…ちょっと行きますね」
「じゃあ俺見てるよ」
「お願いします」
晴子はハッとしたが、真理は部屋を出てしまった。
あたし…
どうしたらいいの?




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