クローバー 〜1〜

不適な笑み

晴子は稽古におわれていた。
「あのっ、田辺さん」
広子は静かに振り向いた。
「何?」
「もう少ししたら本番ですね、頑張りましょうね」
広子はあきれたように笑った。
「あんたには負けるわ…そうね、頑張りましょう」
広子は手を差し出した。
「はい!」
晴子は嬉しい気持ちのまま稽古場を後にしようとした。
車が止まっている…
ワゴンの中から出てきたのは、森口志乃だった。
「うそっ」
晴子の後ろから凛々が出てきた。
「あれ?志乃ちゃん?」
志乃は笑顔で手を差し出した。
「お久しぶりです」
「今日はどうしたの?」
「もうすぐ初日ですよね?陣中見舞いって思いましたけど、もう終わったみたいですね」
「そうなのよ。今日は主役達が夜取材入っててね…あぁ」
凛々は晴子に向かっていった。
「晴子、森口志乃さん。前に演出した舞台に出てたのよ」
晴子は胸が高鳴った。
「見ました!あたし志乃さん好きなんです!嬉しい」
志乃はクスッと笑った。
「ありがと」
志乃は手を差し出した。
「ありがとうございます」
「……そうだ!これから飲みに行かない?」
志乃はにっこりと笑った。
「いいですね。…彼女は?」
晴子は驚き固まった。
「えっ!?あたしですか?いいんですか?」
「そうだね。晴子も行くか?」
「はい」
三人はワゴンに乗り込み、志乃行き付けのバーにきた。
すると店員が志乃に話かけた。
「森口様。先日のお連れ様がお忘れになったようで」
差し出されたのは腕時計だった。
「ありがと」
晴子はそのうで時計をじっと見た。
あれ?…
たけるさんのと…
おな…じ?
晴子は志乃に言った。
「その時計!知り合いが持ってます。同じの」
「そう。これはこないだ一緒にきた彼の忘れ物みたい」
「付き合ってる方いるんですね」
志乃はにっこり笑った。
「まだだけどね。ちょっと電話するから先に」
「はい」
晴子が扉をあけ中に入ろうとしたら、志乃が電話から、話し始めた名前にドキッとした。
「たける?」
ビックリした…たけるって。
「日曜に行った所で時計忘れてるよ。
これから飲むからあとで行ってもいい?」
たけるさんと同じ名前に時計…まさかな。
志乃の電話が終わりのみ始めた。
二時間ほどなり解散となった。
「あたしだけ逆ね。じゃ」
凛々に別れをつげ、二人はタクシーに乗り込んだ。
「車…乗れないですけどいいんですか?」
「大丈夫よ。飲む前にとりにきてもらってるから、今頃家にあるわ」
へぇ…さすが…
「でも行く所が同じ方面で良かったわね」
「本当です」
街まで同じ……
まさかな。
「あたし、そこのアパートで」
タクシーはアパートの前で止まった。
「志乃さん、ありがとうございました」
志乃は固まって晴子を見た。
「ここ?」
「はい…そうです」
志乃はフッと少し不適に笑った。
「ここでいいわ」
志乃は支払いをすませおりた。
「志乃…さん」
志乃はゆっくり晴子の方を見た。
「たけるの好きな子って、まさか」
えっ?




[先頭ページを開く]
[指定ページを開く]


<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ