授賞式を終え、控え室へと戻った。 コンコン 扉をあけると志乃がいた。 「志乃さん、本当に久しぶりですね」 「これから予定ある?」 たけるは帰る準備をしながら言った。 「いや、特に何もないです」 「あたしも仕事ないんだ。どう?」 志乃は飲む仕草をした。 「いいですよ」 たけるはにっこり笑った。 そして… 二人はバーに入った。 「いらっしゃいませ。森口様…どうぞ」 二人は個室に通された。 「よくくるんですか?」 「まあね」 先にたけるが座ると、向かいではなく隣に腰かけた。 たけるはちょっと違和感を感じながらも話始めた。 「志乃さん、最近は女優業も凄いですね。こないだの映画見ましたよ」 志乃は髪をかきあげ、脚を組み換えた。 「ありがと。あたしなんかより、たけるのが凄いよ。 ちゃんとは全部読んでないけど、主人公に女の子持ってくるの初めてじゃない?…まぁ最近の話、知らないけど」 たけるは少し照れながら言った。 「今住んでるアパートの向かいの女の子がモデルなんです」 志乃はピンときた。 「彼女?」 「あっ…いや…そういうわけじゃないんです」 志乃はカクテルを飲みほし、軽く微笑んだ。 「今どき……片想い…とか?」 たけるは笑いながら遠くを見た。 「まぁ…そんな感じですかね」 「覚えてる?」 「何を…ですか?」 二人は向かいあったまま見つめあっていた。 お互い表情はなくただ見つめあっていた。 志乃が軽く笑ったのを見て、たけるは目線を外した。 「たける…変わらないね」 「そうですね…」 たけるはグッと酒を飲んだ。 「たける…」 志乃はたけるの膝に手をおいて体を近づけた。 たけるは顔を背けると、志乃はたけるの耳をかんだ。 「志乃さんっ、あのっ、ダメです」 「何が?」 たけるは席を立った。 「志乃さん、酔ってますよ!送りますから帰りましょう」 志乃はもういっぱい飲みほした。 「いや」 「志乃さん」 「もう少し飲もうよ。イタズラしないからさ」 たけるはおいては帰れないと思いまた席についた。 「まだかなぁ…」 晴子は月明かりに照らされたクローバーを見つめながら、たけるの帰りを待っていた。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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