三人は鍋の用意をしアパートへ戻った。 すると玄関に女性が靴をぬいでいた。 「真理ちゃん!」 勝が声をかけると、真理ちゃんと呼ばれた女の子は振り返った。 「中矢さん、下田さん…」 三人も靴をぬぎながら話した。 「今帰り?」 「はい。バイトも早く終わったんで…所でこの方は…」 晴子はあわてて挨拶した。 「川原晴子です。今日引っ越してきたんです!よろしくお願いします」 すると真理は柔らかく笑った。 「菫の水野真理です。よろしくお願いします」 二人で笑いあいなんだかほんわかした空気が流れた。 「はい、はい、挨拶はそれくらいにして!真理ちゃん!歓迎会で鍋やるんだけどぉ…どう?」 真理はにっこり笑った。 「ぜひ!」 「よし!じゃあ百合に皆集合な!」 「俺の部屋かよ!」 「お前の部屋に鍋セットあんだから仕方ないだろう…なぁ」 勝は真理に同意を求めた。 「えぇ、そうですよ!」 「しゃーねーな」 それから全員いったん部屋へと戻り、百合に集まった。 「これ切りますね!」 「だしってこれか?」 「片付け誰か手伝えよ」 「えぇっと…」 全員バラバラに動きながらもなんとか鍋が出来つつあった。 「改めて。晴子ちゃんって何しに出てきたの?」 鍋をつつきながら勝が切り出した。 「舞台役者目指してるんです。中学、高校と演劇部にいて、高校卒業して二年間地元の小劇団にいたんですけど、もっと大きな事がしたくて…」 「へぇ…」 皆感心しながらなんだか微妙に間のあいた空気が流れた。 「あっ、あのぉ皆さんは?」 皆顔を見合せ、勝から切り出した。 「俺はここの大家と、親父のしてる工場を手伝っていて、いずれは継ごうと考えてるんだ」 「へぇ」 晴子は視線を真理に向けた。 「あたしはそこの大学生」 「………で?」 「えっ?」 沈黙。 「まぁまぁいいじゃん!真理ちゃんは女子大生!それ以上でもそれ以下でもなし!ね!」 勝は二人の肩をポンポンと叩いた。 「たける…さんは?」 たけるは視線を晴子に向けたがすぐに鍋に戻し、食べながら一言。 「小説家」 「へっ?」 「気にしないで。自称だから自称!」 「はぁ…」 なんかそれぞれ個性強いけど、皆いい人そうで良かった… ってあれ? 「他に住んでる方はいないんですか?」 勝が食べながら話した。 「しゃんぐつまでもうずごじいがんだけ」 たけるが勝にツッコンだ。 「食べながら話すなよ!」 「3月までもう少し住んでたんですけど、それぞれ就職やら、お金が貯まったり、田舎帰ったりしてこのメンバーしかいないんです」 「なるほど」 それから四人は空が明るくなるまで語り明かした。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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