昨日の人達なんだったんだろう… 記者…かな?やっぱ。 樫本ゆうの相手ってのできたんだろうな… あたしが告白された時、すぐに言わなかったしな。 あんな可愛い子が側にいるんなら、あたしなんて。 あたしなんて…… 稽古に行こうと扉をあけた拍子に、たけるも扉をあけた。 たけるのスーツ姿に驚いた。 「どうしたんですか!?」 「あぁ…実は」 たけるはカバンの中から雑誌を取り出した。 「こないだ出した魚猫賞…特別賞とったんだ。この作品が掲載される事も決まってる」 晴子は思わずたけるの手をとった。 「うわぁ!おめでとうございます。良かったぁ」 晴子は、なんだか胸があつくなり思わず涙がこぼれた。 「やだっ、あたしったら何泣いてんの。ごめんなさいっ…って、あっ!」 自分から手を握った事に気付き、恥ずかしくなった。 「すみません…」 「構わないよ」 晴子は照れくさいのを隠そうと、歩きながら言った。 「良かったですね本当に」 「ありがとう」 たけるも少し恥ずかしげに答えた。 「彼女も喜びますね!エスミュージック次期社長が小説家として才能もあるなんて凄すぎますよ」 靴をはき、晴子は振り返った。 「晴子ちゃん…」 その暗い表情を見て、晴子も一気にトーンが下がった。 「晴子ちゃん。俺、ゆうとは付き合ってないよ」 「本当…ですか?あっ、あの時、樫本ゆうがたけるさんと喧嘩してわざと勝さんにあんな事して、気を引かそうとかって」 晴子は無理やり明るいトーンで言った。 「たしかに、ゆうが勝にキスしたのはたぶ…」 勝は廊下に視線をやり止まった。 「たけるさん?」 晴子も廊下へ目を向けると、真理が立っていた。 真理は、二人の間を抜け靴をはき始めた。 「真理ちゃんっ!」 真理は無表情で何も言わずに出ていった。 「真理ちゃん…」 晴子は真理の後ろ姿をただ呆然と見ていた。 「あたし…なんて事…たけるさん!真理ちゃんは勝さんの事好きなんです」 「えっ、そうなの?…だからあんな表情…あまりにも暗い表情でいるから思わず言葉なくしたけど」 「あたし、真理ちゃん追いかけます!」 晴子が行こうとするのを見て、たけるも急いで靴をはいた。 「俺も行く」 晴子は走ろうとするたけるの腕を掴んだ。 「ダメ!」 「なんで?」 「たけるさんは授賞式行かないと!あたしは稽古前にやりたい事あったから早く出ようと思っただけで、時間ありますから!たけるさんは行かないと」 たけるは目を瞑り一瞬考えたが頷いた。 「頼む!」 晴子は笑顔になり行こうとし、たけるは晴子に向かって叫んだ。 「晴子ちゃんがどういう解釈しても、俺は好きだか…」 晴子は声に反応し振り向いたが、トラックが何台も通り、たけるの声はかき消されてしまった。 晴子はなんだろうと声を出そうとしたら、真理が歩いてるのが見えた。 「たけるさん!真理ちゃん発見したんで」 そう言って、晴子は真理を追いかけた。 「誤解…とけねーのかな…」 たけるは後ろ髪ひかれる思いで歩き出した。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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