集中しなきゃ 晴子は広子を見て、気持ちを切り替えた。 帰る道も、頭の中は芝居一色だった。 アパートの前に、見知らぬ人々がいた。 「あのぉ、何か?」 晴子は恐る恐る声をかけた。 「ここのアパートの方ですか?」 「はい…」 「親父!どういう事だよ!」 たけるはエスミュージックにいた。 「電話でも言った通りだ。ここをお前に渡す」 「何回も言ってんだろ!俺は継ぐ気はない」 「自称小説家で食っていけると思ってるのか?一流大学を出て、あんなボロアパートに住んで…もう随分遊んだだろ?週刊誌にあんな記事も出たんだ。せっかくここをやろうと言うんだ。小説なんて趣味でひっそり書けばいいだろうが」 たけるはテーブルに叩きつけた。 「言っただろ?継ぐ気はないって!」 父親に雑誌を見せた。 「なんだこれは?」 「魚猫賞の結果だ!特別賞をとった。明日俺は授賞式に行く!作品がこの雑誌に連載される事も決まっている!このまま俺は、仕事として小説を書いて行く!……やりたい奴にやらせろよ」 たけるは雑誌を投げつけ、部屋を後にした。 エスミュージックを出ようとすると、志乃とすれ違った。 『あっ』 お互い振り向いた。 志乃は一瞬唇をあげた。 「久しぶり、元気だった、たける?なんかゆうと噂になってるけど、何にもないのに大変ね」 「志乃さん…いやっ、大丈夫だよ。じゃ」 志乃はたけるの腕を掴んだ。 「ねぇ、今度暇な時ご飯でもどう?」 「あっ、はい」 たけるは会社を後にした。 「クスッ……あたしのが上だって見せてあげるから…」 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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