晴子は思わずたけるの洋服を引っ張った。 「ゆう…」 「えっ!?」 晴子はたけるを見た。 「あいつ何してんだ」 今… たけるさん、「ゆう」って言った? 「ゆうちゃん!急に何するんだ…」 勝が顔をあげると、たけると晴子の姿が見えた。 「たけるっ…あっ、いや」 ゆうはにやりと笑い勝の腕に手を絡めた。 「あらっ、たける君♪ゆうね、勝君と付き合う事にしたから」 『えーーーー!』 晴子と、勝は思わず大声を出した。 「ゆうちゃん?」 「勝さん?えっ?えっ?どういう事?」 晴子と勝があたふたしていると、たけるは無表情のままゆうの腕を掴んだ。 「ちょっとこい!」 「たけるさんっ!」 たけるは目は表情なく、口元だけ笑いながら言った。 「二人で先に帰ってて」 「ちょっとっ、たける君痛いよ」 二人は路地を曲がり姿が見えなくなった。 晴子と勝はそれを呆然と見送った。 ハッと気がつき、晴子は勝に言った。 「今の歌手の樫本ゆうですよね?なんで?」 「あっ、あぁ」 勝は、まずゆうはたけるの学生時代の同級生で友達だと話した。 最初は付き合ってるような感じの事を言っていたが、それは嘘だと言われ、今日……… 「俺に用?」 ゆうは頷いた。 「たける君より…えっと」 「あぁ、勝。中矢勝」 「勝君のが気に入っちゃって♪」 「マっ、マジで?」 ゆうは勝の隣にぴったりくっついた。 「ねぇ?ゆうと付き合おうよ」 勝はデレーとしたが、真理の顔が浮かんだ。 「あっ、でも…」 「彼女いるの?」 「彼女じゃあ…ないんだけど」 勝は考えた。 真理とは付き合ってるわけではない。 今、自分はどう思っているのか。 隣にゆうがいる事を忘れ、思いこんでいた。 「ねぇ?」 ゆうの声にハッとした。 「はい」 「ゆうとデートしよ?それで決めてよ」 ゆうは腕を絡め、胸を押し当てた。 「ダメ?」 「いやっ、大丈夫です」 ゆうはニヤッと笑った。 ゆうは変装をしたまま映画を見て、ご飯を食べた。 「夢見たいだよ!ゆうちゃんとデートだなんて!」 「ゆうも楽しかったよ♪ねぇ、また行こ?」 勝はデレデレしながら考えていた。 ゆうは何かに気付いた。 「勝君、ちょっと」 「?」 勝は少し屈むと、ゆうは勝にキスをした。 「それで…」 「そうなんだ。キスされて。でもこれは真理ちゃんにはっ、いやっ、あの」 勝の言い訳は、晴子の耳には届いてなかった。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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