クローバー 〜1〜

かわる

「おはようございます!」
今日から、本格的に芝居の稽古に入る。
晴子は頭にたけるの事を思い浮かんだが、すぐに消した。
「田辺さん、よろしくお願いしますね」
晴子は右手を差し出した。
「小道具で足りないものあるんですけど」
晴子は無視をされかわされてしまった。
「晴子ちゃん、しょうがないよ」
「そうそう、自分の役半分とられたんだもん」
晴子は複雑な気持ちになった。
たしかにそうだ。
役を貰えたのは嬉しいが、田辺さんにしたら、公演の半分はあたしがやることになったんだから…
ましてやつい最近入ったばっかのあたしが…
晴子は覇気をなくしてしまった。
後ろから晴子は肩をポンと叩かれた。
「中島さん!」
「晴子。気にしなくていいよ、広子は今行き詰まってるんだよ。でも晴子がこの役やったらきっといい刺激になると思って。だから思いっきりやりな!それにお客様からお金とるんだよ。遊びじゃないんだからね」
「はい!」
晴子は気合いを入れなおした。
そうだ!
頑張らないと!


勝はアパートで日向ぼっこをしていた。
「いい天気だねぇ」
うとうととしかけていると、影が重なり目をあけるとゆうがいた。
「うわぁ」
「こんにちは」
あまりの驚きに一瞬声を失った。
「あっ…ども…あのっ、たけるなら日雇いの仕事で1日いませんけど」
「今日はあなたに用があるの♪」
「俺!?」

「今日も1日ありがとうございました!」
反省会も終わり、晴子はへとへとなりながら家路を急いだ。
「今日は寝る!早く帰って寝てやる!」
駅を降りると、たけるが前を歩いていた。
「たけるさん!」
「晴子ちゃん!今日の稽古どうだった?」
「難しいです。怒鳴られっぱなしですよ」
「あははははっ」
そうだ。
今なら誰もいないし、こないだ言えなかったから言っちゃおうかな!
よし!!!
「たっ、たけるさん!」
隣をむくとたけるはいず、振り向いた。
「たけるさんっ、びっくりした。いないんです…」
たけるが違う方向を向いているので、晴子も同じ方向を向いた。
「勝さん…」
キスしてる!?
「あれ?えっ、あっ、あれ!樫本ゆう!?」
なんで?
なんでアイドルと勝さんが!?




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