クローバー 〜1〜

住人

初めての1人暮らし。
荷物の片付けもそこそこに、一息ついていた。
「そういやご飯食べてないや…」
何か買ってこようと扉をあけた。
バンッ!
おもいっきり誰かが扉にぶつかった。
「あぁ!すみません!」
晴子は急いで扉をしめた。
「っつー!!あぁ!…うん、大丈夫、大丈夫だから」
「本当申し訳ないです」
晴子は頭を下げた。
「うん、許すから俺と付き合わない?」
「えっ?」
こっ…この人何考えてんの?
冗談か?
すると百合の部屋からたけるが出てきた。
「勝!固まってるだろ、あんまり変な事言うなよ」
「変な事じゃないだろうが!男女交際のどこが変なんだ!
お前みたいな二次元な世界じゃなく三次元のハッピーライフを夢見て何が悪い!」
二人の話についていけず、晴子はただ呆然と立ち尽くしていた。
「あっ…あのぉ」
「ごめん、ごめん!こいつ下の階の桜の中矢勝。
勝、彼女は川原晴子ちゃん!椿に引っ越してきたんだ」
勝はしっかりと晴子の手を握りしめた。
「よろしくね!晴子ちゃん」
晴子は引き気味に答えた。
「よろしく…お願いします」
勝は力いっぱい手をふった。
「うん、うん!可愛いね」
「勝、彼女ひいてるから」
「えっ?……あぁごめん」
勝は晴子の手を放した。
「大丈夫…ですから…あのぉじゃあこれで」
晴子は階段を降りようとした。
「晴子ちゃん!夕飯買いに行くの?」
たけるの声に立ち止まり振り返った。
「あっ、はい」
たけると勝は顔を見合せにっこり笑った。
「じゃあ歓迎会しようか!」
晴子は一瞬戸惑ったが、にっこり笑った。
「はい!ありがとうございます」
それから三人で下を降り買い物へ出掛けた。


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