クローバー 〜1〜

それぞれの・・・

たけるは繋がれた手を外した。
「ゆう…俺さ」
たけるが喋りかけた瞬間下の階から大きな声が聞こえた。
「だいたいなんであんな絶叫系ばかり乗ろうとするんですか!信じられない」
「なんだ真理ちゃんやっぱ観覧車で俺と二人きりのが良かった?」
「なっ!ちっ、違います!何言ってるんですか!」
「もう赤くなってぇ、素直じゃないなぁ!こないだ俺に好きって言ったと」
「わー!わー!わー!何言って…」
真理と勝は階段にいた二人に気付いた。
「おかえり…」
真理と勝は微妙な笑顔を浮かべた。
しかし勝がすぐに気が付いた。
「たける!その子…」
たけるは思わずゆうの顔が見えないようにした。
しかしゆうはあえて下に降り、にっこり笑った。
「はじめまして!たける君の彼女の、樫本ゆうです♪」
真理と勝は顔を見合せて、もう一回ゆうの顔を見た。
『樫本ゆう!?』

「晴子!」
ストレッチをする晴子に凛々が声をかけた。
「はい」
「ちょっといい?」
「はい」
凛々は、晴子を自分の演出台に呼んだ。
「晴子…コレ覚えてたりする?」
晴子は力強く答えた。
「もちろんです」
「じゃあちょっと今日やって見てくれる?」
「ありがとうございます!」
晴子は俄然気合いが入った。
たけるさんのクローバー、本当に効力あるかもぉ♪
晴子は稽古が始まってから、たけるが入居初日にくれた、四葉のクローバーをずっと持ち歩いていた。




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