「中矢さん…」 勝は抱き締めた腕をそっとはなした。 「やっ…ごめん」 「いえ…あたしこそすみません…」 勝はポケットからぐちゃぐちゃのハンドタオルを出した。 「あ…だっ…これは」 真理は涙を拭いながら笑顔で言った。 「大丈夫です。借りていいですか?」 「うん…」 勝はハンドタオルを真理に渡した。 真理はハンドタオルを顔に近づけた瞬間大声で笑った。 「真理ちゃん!?」 「やだっ…洗ってないでしょ中矢さん」 「あぁ…俺もまさか持ってるって思ってなかったから…」 二人で顔を見合せてさらに笑った。 「真理ちゃん…帰ろ?」 「はい…これ、いいです」 「だよな!俺だってやだよ」 二人は並んで歩き出した。 信号で止まった瞬間、勝は前を向きながら話した。 「真理ちゃん…さっきの話だけど…」 真理は勝の顔を見上げたが、すぐに真理も前を向いた。 「はい」 「正直…真理ちゃんの事…そういう感じで見た事なかったんだ」 「はい」 勝は、真理の返事のトーンの低さに慌てて真理の前に周り、オーバーアクション気味に言い出した。 「あっ、じゃっ、別にだね! 真理ちゃんが嫌いなわけじゃないよ!好きは好きだけど、予想外な所からきたし! いやっ…嫌われてるのかなぁ?なんて思ってたから、まさか告白されるなんて思わなかったし、別に今彼女がいるわけでも、好きな子がいるわけでもないんだけど、だからって『はいそうですかオッケーです』とすぐ言えるって感じ…あぁ!青になったね!渡ろうか!うん!渡ろう!」 あまりのそのテンションぶりに真理は少しひいてしまったが、すぐに笑った。 「別に、付き合おうとかないですから。なんか出ちゃっただけなんで…それに…」 「それに?」 「付き合うとか…正直よくわからないですから。このままでも…大丈夫です」 真理が隣にいると思い、顔をあげると勝はいなく後ろを振り返った。 「真理ちゃん!じゃあデートしよう!俺もちゃんと真理ちゃんの事考えるし、違う俺知ったら、実は勘違いって思うかもしんないじゃん」 勝は自慢気にぐっと親指を立てて言った。 「本当そうですね!今度二人でどっか行きますか!」 「真理ちゃん本当俺の事好き?普通、『そんなことないですっ』とか言わない?」 「気持ち悪い声出さないで下さいよ」 「ねぇ?真理ちゃん?俺はめようと企んでない?」 「違いま……あっ」 二人が前をむくと、凄い勢いで晴子が走ってきた。 「良かったぁ!…はぁはぁはぁはぁ」 凄く汗をかいて走ってきた晴子を見て、真理は勝の腕を引っ張った。 勝はピンときてポケットからだした。 「晴子ちゃん、これ使いな」 「あっ…ありがとうござ、うわっ!」 その反応に、真理と勝は満足気に笑った。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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