クローバー 〜1〜

気持ち

「会社にくるなんて珍しいね!なんか揉め事またあった?」
たけるは振り向いた。
「ゆう…久しぶりだな」
「たける君メールしてもなかなか返事くれないし」
「売れっ子が何言ってるんだよ」
たけるに声をかけたのは、樫本ゆうだった。
二人は話しながら廊下を歩いた。
「今日は何しにここにいるんだ?」
「ファンレターとプレゼント見に。事務所じゃなくてこっちにきちゃう分もあるからさ…そういや同窓会あるでしょ?行く?」
「高校のか?…俺今住んでるの、実家じゃないから知らないけどあんの?」
「ゆうもこないだ母親から電話あって。…そうだ!いつになったら家に連れてってくれるの?」
「お前は連れてけねーだろ。自分の立場考えろよ」
ゆうは少しふてくされながら、たけるの腕を掴んだ。
「いいじゃん!ゆう料理とか結構出来るよ!たける君の小説読みたいし!」
「今度読ませてやるから。じゃあな」
たけるは扉をあけ中へ入った。
「相変わらずガードかたいな…」

「真理ちゃん、
実はさ…たけるさんに告白されたんだよね…」
晴子の部屋で一緒にご飯を食べていた真理は、思わず食べていたカレーを吹き出しそうになった。
「えっ?えっ?えっ?ほっ、本当ですか?」
晴子は無言で頷いた。
「やるなぁ…下田さん」
「でも返事しようとした時に、勝さんがきてうやむやになっちゃって」
「えっ?えっ?えっ?いつ?いつ言われたんですか?」
「やけに乗り気だね真理ちゃん……そうだね、今日…かな?
夜中眠れなくて公園で二人でブランコ乗ってて」
「で?で?どうするんですか?」
「真理ちゃん完全にキャラ違うよね…あっもちろん…」
晴子は少し顔が赤くなった。
その表情を見て、真理はピンときた。
「好きなんですね」
無言で赤らめながら頷いた。
「じゃあ帰ってきたらラブラブですね!」
「えぇ?もうやだなぁ!それより真理ちゃんはどうなの?勝さんの事!」
真理は一瞬にして顔が曇った。
いけない事聞いちゃったかな…
「あたし…どうしたらいいかわからないんです」
「わからないって?」
「人…好きになったって…初めてなんで」
「マッ、マジで!?」




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