クローバー 〜1〜

会話

「たっけるく〜ん!はっるこちゃ〜ん!俺も入れてぇ〜」
声のする方をむくと勝だった。
「勝…タイミングの悪い」
「えっ?」
「なんでもない、なんでも…」
勝はニヤニヤしながら二人の元へ歩いてきた。
「な〜に二人で遊んでるのぉ?俺っちも入れてよ!眠れなくて起きてたら二人が歩いてくの見えて!追いかけてきちった♪」
「あぁそう…俺達もう帰るんだよね!晴子ちゃん」
「えっ?あっ、はっ…はい」
二人のあきらかな怪しい態度に勝は違和感を感じまくっていた。
「なんだよ…俺仲間はずれ?」
「そんな事ないですよ!…あぁ、一緒に…一緒に皆で帰りましょう!もうすぐ3時になりますし…ね!」
その言葉にたけるはため息をつき、先に歩き出した。
怒っちゃったかな…
晴子が目に見えて落ち込む姿を見て、勝は晴子の肩をポンッと叩いた。
「ごめんね、あいつ愛想悪くて!俺に免じて許してあげて?」
多分勝さんが来たからなんて口がさけても…言えないよね。
「大丈夫です!気にしてませんから」
そして晴子と勝も歩き出した。
「そういや勝さんって、ちゃんと仕事してたんですね」
「ちゃんとって」
「あっ、やっ…すみません」
「いやいいって!まぁでもあのままだとあの工場継ぐ事になるんだろうけど…」
いつになく曇った表情に、これ以上ツッコんでいいのか戸惑った。
「晴子ちゃんや、たけるは凄いなって思うよ」
「どうしてですか?」
「俺…やりたい事とかなくてさ。何が自分でやりたいのかわからないのかな?」
その少し寂しげな表情に釘付けになっていた。
「勝さんまだ23でしょ?まだまだじゃないですか!今から探しましょうよ!いろんな事、少しでも興味持ったらやったらいいんですよ!なんなら一緒に芝居やりますか?」
「いや、それはさすがに…」
「ですよね?」
二人で軽く笑いあいながらアパートについた。
「笑っちゃダメですよね!」
「だね!…おやすみ」
「おやすみなさい」
お辞儀をし、晴子は勝の横を通ろうとすると腕をつかまれた。
「ありがとう」
その言葉に笑顔とピースサインで返した。
なんだかルンルン気分の中部屋へ入ろうとし、百合の部屋を見た瞬間青ざめた。
あたし、告白されたのに…
部屋の灯りは消えていた。
失敗したぁ…
自分の部屋に入り、布団の中でのたうち回っていた。




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