クローバー 〜1〜

散歩

朝から夕方までバイトをし、夕方から稽古に走る。
夜中帰ってきたらバタンキュー!
「疲れた…」
でも目を瞑り、浮かぶのは……
「ダメダメ!今それどころじゃないよ」
思わず口に出てしまう。
晴子は明日、バイトも稽古も休みなのを思い、眠りかけたがカーテンをあけ、月を眺めた。
寝転がりながらただただぼんやり月を眺めていた。
最近…会ってないな…
寝返りをうった。
あたし何考えてるの!?
今は芝居に集中しないと!
出ないとはいえ、いつどこで何が起こるかわからないもの!
晴子は起き上がり電気をつけ、鞄から台本を出し読み始めた。
物語に集中し、思わずぶつぶつと声に出していた。
たけるの事が頭から離れ芝居一色に変わった瞬間、扉を叩く音がしハッとした。
物凄く声出てた!?
ヤバいと感じ扉をあけるとやはりたけるだった。
「ごめんなさい」
たけるが話始める前に謝り、頭を下げた。
「なっ、なんのこと?」
「へっ?」
晴子は顔をあげた。
「あたしの喋り声うるさくて眠れなかったんじゃ…」
「喋ってたの?ごめん、電話中だった?」
お互い疑問系な顔で見合せた。
『えっ?』
二人して思わず吹き出してしまった。
「ごめんなさい、違うの。台詞読んでてうるさいから呼ばれたのかなって」
「そうなの?俺寝付けなくて、夜の散歩しようかと思ったら灯りついてたから、どうかなって思って」
「え〜?また散歩ですか?好きですね」
「行く?」
晴子はにっこり笑った。
「やっぱり公園ですか?」
「えっ?違う道でも構わないよ」
そう言いながらも、二人は公園に向かって歩いた。
「この公園広いですよね〜」
そう言って晴子はブランコに立って乗った。
「何?立ちこぎ?じゃあ…」
二人は顔を見合わせてこぎ出した。
「あたし遠くまで跳べますよ!」
「俺だって負けないよ!」
二人は勢いよくブランコをこいだ。
「跳びますからねぇ…せーのっ」
晴子は勢いよく、前に向かって大きくまさに飛んだ!
「俺!好きだ!」
たけるは勢いよく大声で叫んだ。
へっ?………
晴子はその言葉にビックリし、バランスを崩し倒れた。
たけるも跳び、転けている晴子の腕を掴んだ。
「大丈夫?」
心配そうに見るたけるの顔を物凄い勢いで振り向き見た。
たけるも見られ一瞬目をそらしたが、晴子の膝の砂をはらい落としながら言った。
「本気だから…」
晴子は胸いっぱいになった。
「あっ、あたしも…」
最後の「好き」を言おうとしたが、後ろから声が聞こえた。




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