★パラダイス☆


この城の中で働いて4ヶ月が過ぎた。
光様。
体を鍛える事が好きで、いつも笑いがたえなくて、一緒にいると自然に笑顔になれる。
玲様。
あたしなんかより、レディな感じがあるのに、実は凄く男らしい一面もありいつもあたしの事を気にかけてくれてる。
晶様。
セクハラ染みた事が多いが、でも一番女性の扱いになれてるせいか、なれてくると、嫌じゃなくなってきている。
聡君。
本当は様って呼ばないといけないけど、一番あたしと同じ位置にいてくれる存在。
望様。
なんだか目が放せなくて、一緒にいると最近ドキドキする。なんだかほっとけなくて……。
「晶様!起きてください!嘘寝だってバレてますよ!」
「ん…あと少し…」
「………起きろつってんだろ!あとあんただけなんだよ!」
莉乃は寝ている晶の上に乗り、足をくすぐりだした。
「やっ、やめ…ひゃああ!起きる!起きる!莉乃!起きるからああああ…」
莉乃は晶の部屋を出た。
「寛一さん。晶様すぐいらっしゃいます」
にっこり笑い莉乃は下へ降りた。
ヘトヘト姿で晶はドアをあけた。
「あっ寛一…すぐ用意するよ」
「手伝います。晶様。……しかし莉乃の奴立派になったと言うかなんと言うか…」
「俺王子だよな…あいつ手加減なしだぞ。こないだは思いっっっきり、ベットの上で跳ねまくった後、俺の上に全力でタックル決めたり、水ぶっかけられたぞ…」
「あはははっ、まぁこちらとしては、晶様は起きるのが遅いので、助かっておりませが!」
「えぇ〜?…ったく…」
莉乃は年の近い王子達といて、生き甲斐を感じていた。
今まで旅をしてきても、心休める場所はなかったし、年上ばかりに囲まれて嫌な事がたくさんあった。
辛い思いもたくさんした。
けど……ここにきて莉乃は、辛い事があっても王子達が話し相手になってくれた。
使用人の仲では、王子達に取り入ってと白い目で見られていた。
でも莉乃は計算をしてるわけでもなく、きちんとした場ではそれなりの対応をとったが、プライベートでいる時は素直に友達のように接した。
王子と言っても周りは従うものばかり。
冗談を言ったり、普通につっこんだりして笑ったり、自分のために泣いてくれるような存在に、嬉しく思ってた。
「莉乃ちゃん!」
振り返ると聡だった。
「聡君!皆集まってるよ!聡君も早くしてね」
「あぁ。今日視察が終わったら、どこか行かないか?」
「どこか…?」
「城の外出るの久しぶりだろ?遊びに行こう…な?」
莉乃は迷ってた。
聡に告白をうけたものの、答えていない。
話しやすいのはたしかで、よく二人で話している事も多いが、一瞬間があくとキスを迫られる。
正直…好きってわからない。
好きは好きだけど、見つめられるとドキッとするけど、キスを迫られると逃げてしまう。
何度か押し倒されそうにもなったが、体はこわばり素直に彼を受け入れる気にはなれてない…
だから最近はなるべく二人きりで部屋で話さないようにしている。
「……仕事あるから無理だよ!皆で行きなよ!皆だって外出るの久しぶりでしょ?あたし先に行くね」
莉乃は走っていった。
聡の後ろから晶がやってきた。
「み〜ちゃったぁ」
聡は振り返った。
「晶か…」
「まだものに出来ないの?遅すぎるよ。俺先にもう戴くからな」
「晶…」
「なんだよ」
「あいつさ……こないだキスしようとした時泣きそうな顔して駄目だって言うんだ…」
「ずっと失敗してんじゃん。いつもの事だろ?」
「いや、いつも……」
聡は思い出していた。
腕を背中に回した時点で、体はこわばってるのがわかり、いつも冗談を言って逃げようとするから、思わず追いかけてしまう。
でもずっと下を向いたまま駄目だって言って、無理やりキスしようとしたら…
「聡君の事好きだけど…いっぱい話したいけど…これは駄目だよ。もうやめようよ、こんな事。ね?」
あの顔…
晶はふっと笑った。
「ミイラとりがミイラになったか。お前が落とされてどうすんだよ」
晶は笑いながら階段を降りた。
「僕が……あいつを…」
たしかに、最近無理やりにでもって思わなくて、今朝も普通に外に出るから、一緒に……
僕……

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