★パラダイス☆


「眠い…」
明け方まで、聡と話していたため寝不足の莉乃であった。
庭をひたすら掃き続けていた。
薔薇園を覗くと、玲が手入れをしていた。
「玲様!」
莉乃の声に玲は気が付いた。
「莉乃じゃないの!今日は庭のお掃除?」
「はい、そうなんです。王子様達の専属って言われたんですけど、特に何かあるってわけじゃなさそうなんで、寛一さんがここは王子様達のプライベートの庭だから、綺麗に掃除をするように言われまして」
「そう、しっかり働いてちょうだい」
そう言って、玲はまた薔薇の手入れを始めた。
邪魔しちゃ駄目よね…
庭の掃除が終わり、莉乃が道具を片付けていたら、晶が近づいてきた。
「り〜のちゃん!」
「晶様」
「掃除してたの?」
「はい。次は皆様の部屋の掃除をするよう言われてます。でも…勝手に皆様の部屋って掃除しても大丈夫なんでしょうか?」
「あぁ、五階が俺と聡と光で、六階が望と玲の部屋だよ」
莉乃は頷いた。
「寛一さんから聞いております。じゃあ、今からしますね!」
「昨日…聡…部屋に行った?」
「あ……はい」
晶はニヤッと笑った。
すると晶は莉乃の耳元で言った。
「じゃあヤったんだ」
その言葉に莉乃は固まってしまった。
「しっ、してませんよ!そんなことするわけないじゃないですか!」
晶は少し驚いた顔をした。
「そうなの?ヤってねーんだ」
「当たり前です!あっ……でも」
「でも?」
キスをされて、告白された事を思い出した。
「なんでもないです。あたしと聡…様は使用人と、王子様ですよ!あるわけないですよ!」
「俺は歓迎するよ。そっちもお世話してくれるなら、いつでもオッケーだよ、莉乃ちゃん」
莉乃は少し怖くなった。
「失礼します」
去ろうとすると、手を出された。
「おっと……本当に聡と何もないの?それとも口止めされてる?」
「なんでもないです!」
莉乃は晶を振り切り城の中に入った。
怖かった……
「莉乃ちゃん?」
顔をあげると光だった。
「顔…青いけどどうした?」
「大丈夫です。今から部屋…掃除入りますね」
「あぁ…」
光の横を通りすぎた。
光はその後ろ姿を見つめていた。
「どうしたんだろう…よし」
そう言って光は、莉乃を追いかけた。
「莉乃ちゃん!俺の部屋きて」
「あっ、はい」
二人は光の部屋に入った。
やっぱ凄い部屋だ…
「座って。紅茶入れるよ…珈琲のがいい?」
「何言ってるんですか?あたしがします!」
「いいから座って」
無理やり椅子に座らせられた。
「はい、どうぞ」
「本当に申し訳ないです」
「飲んだら、部屋の掃除よろしくね!」
「はい!……美味しいです」
「良かった。顔色良くなったね」
あっ……
「ありがとうございます」
莉乃は優しさに心をうたれた。
「ここは優しい方本当に多いですね…あっ…」
「ん?」
「いやぁ…」
「………なんかされた…とか?」
思わず光の顔をみた。
「大丈夫です。掃除しますね!……でも…光様の部屋凄いですね」
「トレーニングが趣味だからね!莉乃ちゃんもする?ほらっ」
「あはははっ、楽しそうですね!って、掃除しないと怒られちゃう!」
「じゃあよろしく!俺この時間いつも走り込みだから行ってくるよ!」
「行ってらっしゃいませ」
莉乃は頭をさげ、掃除をし始めた。
なんか…晶様怖かったけど、光様と話してたらなんかどうでもよくなってきたな…
頑張ろう!

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