「望様…どうされたんですか?こんな時間に…」 莉乃の声に望は顔をあげた。 「莉乃…」 なんだか莉乃には、望が泣きそうな顔をしているように見えた。 「望様…」 莉乃は望の隣に座りそっと望の顔に触れた。 「なんだか泣きそう…」 いたわるように莉乃は望の顔にふれていた。 望は莉乃の手を外し、その手を両手で握った。 その手をじっと見つめ、口をひらいた。 「大丈夫だよ。君の今までの苦労を考えたら僕の……いやなんでもないよ」 そう言って手をはなした。 莉乃は望を抱き締めた。 「何があったのかわかりませんが、無理しちゃ駄目です。あたしで良ければ聞くくらいならできます」 莉乃は望をギュッと抱き締めていた。 望が口をひらいた瞬間、ガサッと音がし二人は体をはなした。 「あらぁ?こんな所で何してるの〜?俺も交ぜてよ」 にやにやしながら晶が立っていた。 望は立ち上がり無表情で答えた。 「なんでもない。晶、お前も部屋に戻れ」 「じゃあ彼女部屋に送ったら帰るよ」 望と晶が見あったまま、莉乃はどうしたらいいのか戸惑っていた。 「あの、あたし大丈夫です。夜遅いって言っても敷地内ですし、すみません、失礼します」 「あらっ…行っちゃった。望のせいで行っちゃったよぉ…駄目だよこんなこそこそ女口説いてさ。聡には、駄目だって言っておいてさぁ」 無表情のまま望は、晶の横を通りすぎた。 「無視かよおい。これだからサラブレッドはさ…」 晶はしばらく望の後ろ姿を見ていたが、使用人の家に向かって歩きだした。 莉乃は部屋に戻ると、部屋の前に聡が立っていた。 「聡君!」 走って駆け寄った。 「どうしたの?」 「話がしたかったんだ。でもいなかったから待ってたんだ」 「そうなんだ…どうぞ。狭いけど」 そう言って、莉乃は聡を部屋へ入れた。 「今日見てて思ったけど、やっぱ凄いよね!」 そう言って莉乃は振り返ると、聡は莉乃にキスをした。 「聡君!!……あっあのぉ…」 喋ろうと瞬間、またキスをした。 抱き締めてそのままベットに倒れそうになった。 莉乃は体をはなした。 「何するの?話…しにきたんじゃないの?」 「僕……莉乃ちゃんの事…好きになったみたいなんだ」 そう言って莉乃を引き寄せ抱き締めた。 「聡君…」 今度はゆっくりと腕を外した。 「ありがとう…でもそんな、昨日の今日だし…それにあたし使用人だし…どうしたらいいか…」 「わかったよ。ゆっくりでいいから僕の事見てよ。でもあと少し…莉乃ちゃんの話聞いていい?」 小さく莉乃は頷いて二人は明け方まで話していた。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
w友達に教えるw [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |