「これより、王子即位式典を行う」 この式典に選ばれたメンバーはこれから1年、さらに勉強を重ね王様となる。 なぜこの若さでなるのか… それは現王様の1人がもう長くないからである。 それと、マンネリ化しているこの国を変えようと新しい風を吹かすべく、集められたメンバーである。 莉乃はその華やかさに圧倒された。 使用人達は着付けを手伝い、パーティーの準備、招待客の管理に忙しく動いていた。 使用人と言っても、皆元は一流企業に勤めていたものが多く、年齢はたしかに莉乃よりも10以上は上の人ばかりだった。 しかし今回、人が足りないため本当は使用人になるのも、色々な資格や、試験を通らなくては行けないが、そうもいってられなくなってきた。 なので一般募集をかけ面接をしている。 しかしやはり使える人間は少ない。 その事を知り、莉乃はますます望に感謝をしたのであった。 王子候補1人1人名前が呼ばれ、入場した。 その姿を見て改めて莉乃は、昨日や今朝のように馴れ馴れしく話す人間じゃないと感じた。 そのオーラはやはり尋常なものではなく、使用人達や、城の人間もこそこそと話していた微妙な声がピタリと止まった。 莉乃は思わず息を飲んだ。 聡、光、玲、晶と入場し、最後に望が入場した。 望の姿を見て莉乃は今朝見た優しい笑顔がなく、無表情で凛々しいと言うよりロボットのような表情に、目を疑った。 緊張してるのかな… 式典中の望は、微動だに動く事なく、まるで魂が抜けてしまったかのように莉乃には見えた。 式典が終わり、パーティーが始まった。 莉乃は飲み物のグラスをひたすら下げていた。 「つーか、一つのグラスで飲めよ!!」 思わずグラスを運びながら口に出ていた。 「あはははっ」 笑い声の方をむくと、式典で光と呼ばれてた人間が笑っている。 「あっ、あっ、あっ!申し訳ございません」 パニックになりながら頭を下げた。 すると光は、莉乃に近づいてきた。 「いや構わないよ。たしかにその通りだよな。でもなぜか皆飲み物同じものでも変えるよな!同じでいいよな」 「そっ……そうですよね!」 「あっ…あはははっ」 また笑われたよ… まぁいいや、あたしも笑っておけ! 「あはははっ」 すると後ろから寛一が歩いてきて莉乃の頭を殴った。 「さっさと運べ!光様、申し訳ございません」 「大丈夫だよ。面白いね君。莉乃ちゃんって言うんだよね?今朝皆話してたよ、若い使用人が入ったって」 「ちゃんと私めが教育いたしますので。ほらっ早くしろ!」 「すみません!失礼します」 「莉乃ちゃんまたね〜!」 一礼し、莉乃は台所にグラスを運んだ。 仕事が全て終わり、ヘトヘトで部屋についた。 莉乃は1日振り返ってみた。 どうしても望の式典の無表情が忘れられなかった。 それにパーティーで見なかったんだよな… 窓をあけ外を見ると、噴水の所で誰かが座っているのが見えた。 「望様だ…」 莉乃は思わず部屋を出た。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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