朝起き、莉乃は聡の部屋へ向かった。 起こすって事は、あいてんだよね… どうやって起こせばいいんだろう… 莉乃は考えながら歩いていた。 すると前から望が歩いてきた。 あっ… 「おはようございます。望…様ですよね?昨日ありがとうございました!助かりました。昨日から働かせてもらってます。聡…様の専属になって」 「聡の?」 「はい!これから起こしに行きます。じゃあ失礼します」 一礼し、横切ろうとしたら望は莉乃の手を掴んだ。 「行かなくていい」 「えっ?……でも」 「聡なら起きてるよ。大丈夫だから。…あっ、ごめん」 望は莉乃の手を放した。 「そうなんですか……」 望は軽く微笑み、言った。 「聡専属じゃなくて、王子候補全体見てくれる?使用人つっても、年違うから近い子いると皆楽しいと思うんだ。だから僕の用事もきいてもらえるかなぁ?」 「……はい。わかりました」 お互い向かいあったまま笑った。 「旅人ちゃんの名前…」 「莉乃です。莉乃って呼び捨てで構わないですから」 「望ちん!」 望の後ろから声がした。 声の方を二人は向いた。 「玲…おはよ。莉乃、紹介するよ、玲。王子候補だよ」 玲は、紹介する望に抱きついた。 「もう浮気もの!おはよう!」 莉乃はビックリした。 「玲…放せ!驚いてるから…」 そう言って、腕を外した。 「玲、こちら莉乃。昨日から使用人になったんだ」 「あらっ、そうなの?よろしくね、莉乃。先に言っておくけど、望は玲のものだからね!」 「玲!ったく…莉乃気にしないで」 莉乃は、ビックリしたまま固まっていた。 「あの…」 恐る恐る莉乃は聞こうとした。 「莉乃!何してる!やることいっぱいあるぞ!」 寛一が、階段の下から叫んでいる。 莉乃は気付き返事をした。 「はい!」 「寛ちゃん!玲の式で着る服だけどぉ…」 玲は喋りながら降りて行った。 「莉乃、驚いただろ?」 「えっ!?…あぁ、はい。あのぉ」 「中身が女って言うのかなぁ?なんか僕…気に入られてるみたいでさ。でもいいやつだよ。あぁ見えて政治とか凄く知識あるし、福祉も意欲あるし、尊敬しなきゃいけない所たくさんあるんだ。でも普段あんな話し方だけど、一応人前だと男言葉だから」 「そうなんですか?」 望は笑いながら頷いた。 「さぁ、仕事しておいで」 「はい!行ってきます!式…頑張って下さいね」 すると望は微妙な乾いた笑いを浮かべた。 莉乃は不思議に感じながら階段を降りた。 望は莉乃に手を振り、見えなくなったとたん無表情で、廊下を歩きだし聡の部屋に入った。 「聡!」 ベットにいた聡は、望の声にめんどくさそうに返事した。 「なんだよ望。これから使用人くんだか」 言葉の途中で望は聡のパジャマの襟を掴んだ。 「これ以上やるな!」 そう言って手を放した。 「なんだよ、望…知ってたのかよ。あったのか?莉乃ちゃん?……望、好みなのか?今まで注意してもわざわざ来なかったじゃんか」 去ろうとした望は立ち止まり、振り向かずにそのまま答えた。 「自分の立場考えろ。いつでも追い出す事、出来るんだからな」 そう言って聡の部屋をあとにした。 そして、王子候補から王子様の正式な位を授ける式典が始まろうとしていた。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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