★パラダイス☆


「ここが今日からあたしの部屋かぁ…」
三階建ての角部屋。
六畳ほどに、ベットと机。
窓をあけると城の庭の緑が見え、心地よい風がふく。
窓をあけ、風を感じていると、城から誰かがこっちを見ている。
遠いがあきらかにこちらを見ている。
なんだろう…
そう思っていたら手をふられたので、ふりかえした。
すると後ろから莉乃は殴られた。
「いたっ!!!」
振り返ると使用人の寛一さんである。
この寛一は、さきほど望といたさい通りかかった、使用人である。
別に望の紹介でもなんでもなく、ただ面接にきただけだと知った瞬間この扱い。
「何、手をふっている!あの方は、晶様だぞ」
「あきらぁ?まだ王子とかいるの?じゃない、いるんですか?」
「お前本当この国の事わかってないな…まぁ今からこの中を案内しながら話してやる」
そう言って寛一さんと、城を周りながらこの国のシステムを聞いた。
王子候補は20人いて、最終的には次期王様となる5人を決める。
王子達は、毎日王様となるべく、毎日勉強をしている。
一般知識から政治学、軍事問題や色々なマナー等、莉乃にとって、社交界がどうとか、国の政治について語られても正直わからない。
適当に相づちをうちながら、この緑豊かな自然の方が素晴らしく思い見いっていた。
「でもまぁ明日王子の即位式があるんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ、望様、晶様、聡様、玲様、光様の5人になる」
望様…
あたしを助けてくれた人。
たしか現王様の子供とか…
「普通皆王様の子供じゃないんですか?」
「この国は5人いるし、全員結婚してるわけではないし、必ずしも男のお子様が産まれるわけではない。昔から男が王位を継ぐと決められてるから、より優秀な人間が王位につくようになってる。聡様は、本当は農家の出だが、頭脳明晰でね、現王様より直々に、候補として選ばれたくらいだ」
「へぇ…」
広い城の周りを歩いたあと、城の中に入った。
広いロビーに大きい階段。
莉乃はあまりの大きさに目が眩みそうになった。
大きな扉の隙間が開いており除くと、ものすごい数のテーブルが置かれ、忙しく使用人達が動いている。
「明日の即位式はここであるんだ。さて、お前も手伝ってもらう」
「頑張ります!」
言われたものを運んだり、掃除したり、夜遅くまで働いた。
「疲れたぁ…しかしここどこ?」
寛一に頼まれたものを運んでいたが、城が広すぎたために迷っていた。
「迷ったんですか?」
振り向くと、1人の男性がいた。
「そうなんです。荷物を運んだら今日はもう終わりだって言われたんですけど、帰りがわからなくて」
「案内してあげるよ」
「ありがとうございます」
「新人なの?」
「そうなんです。今日からここにお世話になってまして。旅してここにきたので、全然まだわからなくて…」
「そっかぁ、大変だね。僕城の五階の端の部屋なんだ。いつでもおいでよ。あの大きな木の前」
「はい!ありがとうございます。あっ、あたし莉乃です」
「僕は聡」
「聡さんで……えっ!?まさか、王子様!?」

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