★パラダイス☆

26

「莉乃!莉乃!」
莉乃は半分寝ぼけていた。
「ん…誰?」
「玲よ!莉乃!大変なの起きて!」
莉乃は目をこすりながらボーッと起きた。
あたし…寝てたんだ…
「どうしたの?玲」
「望が…望が刺されたの!」
莉乃は一瞬動きが止まった。
今のは聞き間違い…?
「玲?」
「莉乃!望が刺されたの!」
その言葉を聞いた瞬間、頭がグラッとして莉乃は倒れた。
「莉乃!莉乃しっかりして!ちょっ…誰かきて――!」


ここは…どこだ?
あっ…あたしの家だ…
懐かしい…
テーブル、椅子、戸棚…
あの頃のままだ。
莉乃は部屋を出た。
階段を上がればあたしの部屋だ。
莉乃はノブに手をかけた。
あけると窓の外を眺める望がいた。
莉乃はその姿を見た瞬間満面の笑みになった。
「望様!」
声をかけると望はゆっくり笑顔で振り返り、手を差しのべている。
「望様!」
望に近づき手をとろうとしたら床が抜け莉乃は落ちていった。
「いやぁ――――!」
「莉乃!」
目をあけると玲と光が莉乃を見ていた。
「大丈夫?莉乃」
玲が優しく声をかけた。
「あたし…」
光が莉乃を起こしながら答えた。
「気を失ったんだよ、望の話を聞いて」
「望…さ」
莉乃は思いだし、ベットを出ようとした。
光は莉乃の体を押さえた。
「放して!あたし、あたし望様の!」
その声に重なるように玲が言った。
「大丈夫よ!莉乃、大丈夫だから!大丈夫だったのよ」
「莉乃ちゃん、望は無事だから!」
莉乃は二人の顔を見た。
「ほ…んと?」
二人は力強く頷いた。
「良かった…」
安堵感に莉乃は涙を流した。
「莉乃。神楽様も意識…戻ったそうよ」
「えっ?……良かったぁ…本当に良かったぁ」
光と玲は顔を合わせ微笑んだ。
その瞬間部屋の扉が開いた。
「莉乃…大丈夫?」
望だった。
莉乃はベットからおり、望の前に立った。
「望様…」
涙を流しながら望に抱きついた。
「いてっ」
「あっ…申し訳ござません!!!」
お互い顔を見合せ思わず笑った。
玲と光も一緒に笑った。

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