神楽王は、浴室で血を吐き倒れていた。 神楽王の奥様、王妃は望を出産と同時に命を落としこの世にはいない。 その他の王様達には、都の父親、子供がいない王様、独身の王様が二人。 望はサラブレッドとして、幼少の頃から王様になるだろうと見越し、育てられた。 知識や教養を優先し育てられたため、人間にとって大切な感情が少しかけていた。 王子候補達と出会い、「友達」と言う存在を初めて感じた。 しかし最初は20人いた候補の中残るのは5人。 「友達」とは外面で、内心競争心にあおられる所があった。 望は何もしなくても王子候補ではなく、王子として扱われていたため良く思わない人間もいた。 裏切られる悲しみも知ってしまいだんだんまた心を閉じかけていた。 望にとって、使用人の噂話や、街の話を聞いて、こんな城という牢獄にいるより、外の世界に出たいとも考えていた。 でもそれはしょせん無理な事。 あきらめて翌日の王子式典に出ようとした時、見知らぬ自分より若そうな女の子と出会った。 年下なのに旅をしている。 しかも両親がいないのに、笑顔がとっても…… 思えばあの時すでに彼女を好きになってたのかもしれない… 「現在特別治療室です。望様でも入るのはちょっと…」 「わかってる」 望と莉乃は王様の話をきき、城に戻っていた。 治療室の前には大勢の人間がいた。 「望…大丈夫か?」 光が望に声をかけた。 「莉乃ちゃんちょっと」 光が莉乃を手招きした。 「はい」 「あいつはすぐ強がる癖がある。でも絶対落ちてるはずなんだ。だから…」 莉乃は光の方をむいて力強く頷き笑った。 「大丈夫です。でも…でも…その前にしなきゃいけない事があります」 光は莉乃の視線の先を見て気が付いた。 「そうだね。聡もこのままじゃないけないよね」 莉乃は望の側に寄り添うようにたち優しく言った。 「望様。ここにいても何も変わりません。信じましょう。部屋にいて下さい。あとで…行きますね」 そう言って笑った。 「皆さん!ここにいても何も変わりません。信じましょう!今日は皆さん部屋に戻りましょう!」 莉乃は皆に呼びかけた。 その声に賛同し、みな後ろ髪引かれる思いを抱えながら治療室をあとにした。 莉乃は走っていき、聡の腕を掴んだ。 「話あるんだけど……いい?」 聡は無表情のまま頷いた。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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