莉乃は扉を閉めた。 光が席を立ち上がり、莉乃の隣に立った。 「莉乃ちゃん」 莉乃は光の方をむいた。 「光様…すみません」 「謝らないでよ。莉乃ちゃんはこれでいいの?」 「わかりません…急にこんな事になって…」 光は莉乃の手を掴んだ。 「莉乃ちゃん。俺は莉乃ちゃんが幸せならそれで構わないよ。でも…そうじゃないなら…」 莉乃は光の手をはなし、ベランダに出た。 「あたし……好きなんですよね」 「莉乃ちゃん…素直になりなよ。望の事」 莉乃は振り返った。 「好きですよ。もう遅いですけど」 明るく笑って見せた。 「そんな事ないよ!望だって莉乃ちゃんの事…」 莉乃は首をふった。 「もういいんです。本当に。光様の気持ちとっても嬉しかったですよ」 「莉乃ちゃん…」 莉乃と光は無言のまま向かいあったまま立っていた。 光は莉乃の部屋を出、望の部屋へ向かった。 部屋に入ろうとした望がいた。 「どうしたんだ?光?」 「ちょっと話あるんだけど…いいか?」 望は光を招き入れた。 「なんだよ光」 光は望を思い切り殴った。 「なにすんだよ!」 望も光を殴り返した。 「うるせー!てめぇがはっきりしないから悪いんだろうが!これ以上彼女を苦しめるなよ!」 その言葉に望は言葉を失った。 「お前も好きなんだろ?彼女の事!だったら言ってやれよ!それともお前は普段嫌がってるくせに、結局自分たちのポジションが大事なのかよ!」 「お前に……お前に何がわかんだよ!」 二人の大きな声や物音に、使用人達は集まり止めに入った。 「望!そういう事ばっかしてるから失うんだよ!」 「光様!!」 「望様!いけません」 使用人に押さえられ、無理やり外に出され、その場は収まった。 寛一は望を落ち着かせた。 「望様!どうなされたんですか?」 「なんにもねーよ…」 唇をかみ、ベットに腰かけた。 「望様……莉乃の事ですか?」 一瞬びくってなる。 無言が続いたあと、望は口をひらいた。 「僕は…どうしたらいいんだ?彼女に抱き締められた瞬間胸が締め付けられるような思いがしたよ。彼女の頬に触れるだけで、安心して、目を閉じると彼女が笑う姿が見えるんだ……でも」 「でも?」 「視線の先には、聡が……いて」 「望様…莉乃は迷っております。莉乃は聡様の優しさに心を打たれたと思います。ですが、望様と聡様を見る目が私から見れば違います。莉乃は望様にいつも声をかけようと見ており、やめてしまう。ずっと切ない顔で見ております。痛々しいほどに。私は……構わないと思いますよ。正直になっても!今日はこちらにお食事運びますね」 そう言って寛一は望の部屋を出た。 すると、寛一が出た変わりに玲が入ってきた。 「玲…」 玲はまっすぐ望の所にきて、座る望の頭を軽く殴った。 「なにしてんだよ、望」 玲をまっすぐ見ながら笑った。 「ほんとにな」 玲は望の隣に座った。 「ここの事考えなくていいから、自分に正直になれよ。ここを継がなきゃ行けない事だけが、お前の人生じゃねーだろ?」 「……考えた事なかったよ。少し前までな。彼女といれたら毎日笑えて楽しいんだろうな…」 玲は望の肩に手をかけた。 望は玲の方をむくと、玲は無言で頷き笑った。 望も優しく微笑み立ち上がった。 「玲……ありがとう」 望は部屋を出た。 玲は見送ったあと、ベットに横になった。 「本当…世話やけんだから…」 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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