★パラダイス☆


「住み込みの使用人募集…住み込みって事はホテルとかマンション見つけなくても、家賃ただで働けるんだよね!!よし!ここ行ってみよう」
莉乃は、この国の中央にある城までやってきた。
城の前には怖そうな番人がいた。
「あのぉ、住み込みで使用人募集してるって紙見たんですけど…」
番人は無表情のまま城の勝手口の扉をあけた。
「このまま右へまっすぐ行くと使用人用の家がある。そこにいるものに聞いて下さい」
「ありがとうございます」
莉乃は言われた通り右に歩きだした。
しかしここは広いなぁ…
しばらく歩くと池が見えてきた。
そこで1人の男性が立っていた。
「あのぉ、使用人募集の貼り紙見てきたんですけど、使用人の家ってまだ先ですか?」
池のほとりで魚を見ていた男性はゆっくり立ち上がり、莉乃に近づいてきた。
「若そうだけど、いくつ?」
「17です。駄目…ですか?」
「うち住み込みだけど、家は?」
「家ないんです。両親共亡くなってしまい、仕事をずっと続けられそうな所を旅して今日ここに着いたんです」
「そう…大変だね」
そう言って男性はフッと微笑んだ。
凄い綺麗な人だ…
思わず莉乃は見とれてしまった。
すると、使用人の服装をした男性が走ってきた。
「望様!いかがなされましたか!貴様!何者だ!」
えっ!?
「いや、あたし、使用人の」
「怪しい奴めが!」
莉乃は使用人に腕を羽交い締めにされた。
「ちょっ…」
すると望が使用人の腕を掴んだ。
「望様!」
「彼女放してやって。僕が呼んだんだ」
すると使用人は慌てて手を放した。
「申し訳ございません!」
何がなんだかわからず、莉乃がキョロキョロしていると、望が莉乃の方を向き微笑みながら言った。
「今日から君はここの使用人だよ。よろしくね」
そう言って、莉乃に手を差し出した。
「あっ、よろしくお願いします」
握手を交わした。
「彼女を部屋へ案内してあげて」
「かしこまりました。こっちです」
「じゃあまた後で会おうね、旅人ちゃん」
そう言って望は歩いていった。
莉乃は去って行く望に何度も「ありがとう」と叫ぶと使用人の後をおった。
「あのぉ…すみません!あの方誰なんですか?」
「知らずにきたんですか?…呆れた。ここの王子候補!次期王様最有力候補の、望様。現王様の息子様ですよ!」
え―――――!!!
馴れ馴れしく話ちゃったよ…
でも凄く気さくないい人だったなぁ…
王子ってもっと位が高いからツンケンしてると思ったけど。
その莉乃が歩いている様子を窓から覗いてる人がいた。
「あの子可愛いな…」

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