望様と都様が正式に婚約する事が決まった。 来月、そのパーティーが開かれる。 あたしはあの二人が一緒にいる所を見て、なんとも思わずにいられるのだろうか? 婚約をすると言う噂話を聞いただけで、めまいが起きた。 自分から離れたくせに、今さらこんな想いをするなんておかしすぎる。 でもさらにおかしくなるかもしれない。 「あたしがですか?」 寛一が莉乃の部屋にきて言った。 「あぁ、せっかくのパーティーに聡様とお前の婚約も披露したいと。……お前と聡様が仲良くしてたのは知っている。王様達は、お前と結婚する事で庶民派をアピールしたいんだと思う。特に聡様は、農家の出だ。頑張ればこういう事もあるという、庶民の夢も見せてやりたいんだろう…。だから今日で使用人としての仕事が終わる。莉乃は今日から王妃候補として、やっていかなければならない」 寛一の話を聞きながら、あまりの展開に言葉もなかった。 「待って下さい。急に困ります。そんな…あたし…」 「決定事項だ。お前と聡様が付き合ってるのだって黙認されていたんだ。普通に考えたらあるわけないだろ!……まぁ相手が聡様だったからだろうがな…」 「考えさせて下さい。急に……」 寛一は肩に手をかけた。 「まぁそうだな。でも変わりはしないぞ。莉乃はまだ若い。それゆえに、すぐ結婚という形にはならないだろう。でもずっと旅をしてきて、こんなに長く滞在した所もないんだろ?この街はいい所だ。損はないと思うぞ。とにかく今日中に部屋をうつる事になるからな」 そう言い残し、寛一は去った。 あたしが、聡君のお嫁さんになるの…? 望様の話もそうだけど…あたし、どうしたらいいの? どうしたらいいのかもわからないまま、部屋をうつされる事になった。 小さな部屋から急に華やかな部屋へ。 使用人として働いていた自分が、使用人達に世話をされている。その状態に違和感を感じずにはいられなかった。 「それくらい、あたしします!」 「莉乃様。そういうわけにはございません」 今までため口で話されたり、王子様達と仲良くしている自分に陰口を叩かれていた自分が…… 鏡に写し出された、華やかなドレス姿の自分を見て、だんだん顔が険しくなっていった。 「良く似合うよ」 鏡越しに見えたのは聡だった。 「皆もういいよ」 「失礼します」 使用人達が出ていく。 聡は莉乃の隣に立った。 「綺麗だよ、莉乃ちゃん」 「聡君!…あたし」 「楽しみだね」 莉乃の声を遮るように聡が話始めた。 「嬉しいよ、莉乃ちゃんとの事…認められて。他のやつらもまた婚約とかするんだろうけど、一応うちの国は自由だからね!…って言っても、政略結婚とかもあるんだけど。そういう意味では、僕は好きな人と一緒になれるんだから幸せだよ!ね、莉乃ちゃん」 何も言えなかった。 あたしは今付き合っている。 彼の言うことは間違ってないし、間違って…いないんだけど。 「あたし……使用人のがいいな!なれないよ!やっぱ駄目!」 聡はその言葉を受け止めはしなかった。 「服装嫌ならカジュアルな感じでも普段は構わないよ!…そうだ!玲に頼んで薔薇園の薔薇をわけてもらって、パーティーで飾ろうか!綺麗だもんな」 「そっ、そういう意味じゃなくて…って、あっ…でも…」 うまく言葉に出来ない。 「望達とも話して、どんなパーティーにするか考える?都さんは、派手好きだからなぁ」 うまく頭が回らない… 「聡…君」 名前を呼ぶと同時に聡は莉乃を抱き締めた。 「それ以上言わなくていいよ。僕…幸せにするからさ」 扉の向こうで会話を聞いてる人間がいた。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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