★パラダイス☆

15

莉乃は光の部屋にいた。
「もう光様ったら!あんな薄着でいつもしてるからですよ」
「だって、汗かくし…ごほっ」
光は風邪をひいていた。
莉乃は付きっきりで今看病をしていた。
頭のタオルを変えながら光をみていた。
「早く治して下さいね。仕事たまってるんですから」
「うん…」
「ぶっ」
「なんで笑うんだよぉ」
「いつも元気な光様が、『うん…』って力なさげに言うから可愛いなって」
光は少し赤くなり、布団をかぶった。
「冷たいもの食べたい」
布団の中から光が言った。
「クスッ、アイスかなんか持ってきますね」
「うん」
布団をかぶる光がなんだか莉乃は可愛く見えた。
莉乃は立ち上がり、光の部屋を出た。
出ると、聡が立っていた。
「光は?」
「熱はかなり下がったよ。あと一押しって感じかなぁ?」
聡はそれを聞き少し顔を赤くし、手で顔を押さえながら言った。
「俺も風邪ひこうかな…」
その言葉に莉乃は笑った。
「じゃあ看病してあげるよ」
二人は階段を降りていった。
上の階から歩いていた望は立ち止まっていた。
「何見てらっしゃるの?」
後ろから都が話かけた。
「なんでもない」
そう言って、都を無視し、階段を上がろうとした。
すれ違った瞬間都は、望の手を握った。
無言のまま望は都を見た。
「あたしじゃ駄目なの?あたしずっと望さんの事…愛してるのよ?」
望は視線をそらし、手をはなした。
「僕は誰も愛さないよ」
そう言って階段を上がって行った。
都は唇をかみ、涙をこらえていた。
嘘つき!そんなにあんな女がいいの?…
都は愛情よりも憎しみの方が越えようとしていた。
莉乃は、聡と別れ、光に渡すフルーツやアイスをトレーにのせ、光の部屋に向かっていた。
「運ぼうか?」
声の方を向くと、晶だった。
「晶様」
「光のだろ?持っていってやるよ」
「大丈夫ですよ、これくらい!」
しかし、晶はトレーを手にとった。
「俺も男だよ。貸しなって。ずっと看病してただろ?これくらいしてやるよ」
莉乃は微笑んだ。
「晶様にもそんな所あるんですね」
「おいおい、それどういう意味だよ」
「そのまんまですよ」
二人で見あって笑った。
「そういや莉乃ちゃん、聡とつきあってんだって?」
莉乃はちょっと戸惑ったが、笑って言った。
「えぇ、そうなんです」
「じゃあもうヤったの?」
「またそれですか?しませんよ!そんなこと!聡君は優しいですから!晶様みたく誰でも口説くような人じゃありませんから」
っていいながら、無理やり最初の頃キスされたけど…
でも今はキスもしてないし、間違いじゃないよね。
「俺だって選んでるよ。誰でもってわけじゃないさ。なんなら俺とも付き合う?俺別に他に男いても構わないよ」
そう言って、莉乃にむかってにっこり笑って見せた。
「またそんな事言って」
光の部屋の前についた。
「はい、ありがとうございます」
そう言って、晶からトレーをとった。
晶はにこりと笑い、莉乃に顔を近づけた。
「あっ…」

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