★パラダイス☆

14

莉乃は昔の事を思い出していた。
自分も、一応国の姫様だった。
あの頃は働くなんて考えもしなかった。
なんにも知らなくて。
今はそう言う意味では強くなったと思う。
でも……
なんだろう、このむなしさ。
莉乃は寝付けずにいた。
もう2時回ってる…
早く寝なきゃと思えば思うほど眠れない。
窓をあけ、風を入れた。
あっ、気持ちいい…
星空を眺めながら思い浮かぶのは望の顔だった。
望様…
あんなに冷めた顔。あの式典で見た顔と同じだった。
胸が痛んだ。
あたし別に簡単にあんなことしない。
ただあの時…見ていられなかった。
望様の悲しい顔を見たくなかった。
気が付いたら抱き締めて…抱き締めて…
駄目だ!考えないようにしなきゃ!
ふと城の方を見ると、聡の部屋の灯りが見えた。
聡君、まだ起きてるんだ。
そういやちゃんと返事してないな。
聡君も王子には代わりないんだよな。
………。
莉乃は部屋の扉をあけて出ていった。
コンコン
扉を叩く音がした。
扉をあけると莉乃が立っていた。
「莉乃ちゃん…どうしたの?」
うつむいていた莉乃は顔をあげて、悲しげに微笑んだ。
「聡君に話があって。灯りついてたから……いい?」
「いいよ」
聡は莉乃を部屋に入れた。
「何か飲む?ワイン?あっ…紅茶とかのがいい?」
「じゃあ紅茶」
「オッケー。そこ座って」
莉乃は、椅子に腰をかけた。
聡は紅茶を作りながら言った。
「どうしたの?こんな夜中に」
「うん…」
歯切れの悪い返事に聡は無言になった。
紅茶を入れ終え、莉乃に差し出した。
「熱いから気をつけてね…はい」
「ありがとうございます」
莉乃は紅茶を一口飲んだ。
「そうだ!こないだ玲がきた時お菓子置いて行ったけど、食べる?」
「いや…大丈夫だから」
「……そう?じゃあ…話聞こうか」
莉乃は、少し笑みを浮かべたが、あきらかに落ち込んでいるかのように聡には見えた。
何か言おうとしているが、口には出せない。そんな感じに見えた。
「僕……フラれるのかな?」
その言葉にハッとして、莉乃は顔をあげた。
「あの…違う…の」
聡は一瞬止まった。
「ちが…う?」
莉乃は頷いた。
「それって……オッケーだと思っていいのかな?」
莉乃は一点に集中し、何かを決めたように強く言った。
「でも聡君は王子様で、あたしは使用人なの!」
その言葉に、聡は立ち上がり紅茶がこぼれた。
聡は座る莉乃を強く抱き締めた。
「関係ないよ。だって好きなんだよ」
莉乃も、聡の背中に腕を回した。
きっと…これでいいんだよね…

[先頭ページを開く]
[指定ページを開く]


<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ