あれからなんだか望様をずっとさけている。 それに、都様もなんとなくあれから関わらないようにしてる。 元々そんなに関わる事がなかったにしろ… 「はぁ…」 ため息をつきながら、王子様専用の庭の草むしりにせいを出していた。 しかし寛一さん…いきなりここ全部やれ!って…あれ絶対自分がやりたくないからじゃないの!?あたしがたまたま通りかかったからって、 「『あぁ!莉乃!お前にぴったりの仕事がある』って、何がぴったりなのさ!」 「今の寛一の真似?」 振り返ると、望だった。 思わず莉乃は立ち上がった。 「望様!…あのぉ、公務の時間じゃないんですか?」 「早く済んだから戻ってきたんだ」 「そうなんですか…」 ヤバい。沈黙。でも何話せばいいの? 「最近僕の事、さけてない?」 「あっ……いやぁ…そんなこと…ないです」 あきらかにヤバいよね。どうしよう… 望は莉乃の隣にしゃがみこんだ。 「今日は草むしり?」 「えっ?あっ…はい」 「僕も手伝おうかな」 そう言って望は草を抜き始めた。 「大丈夫ですよ。あたしの仕事だし…」 莉乃もしゃがみこみ、草を抜きだした。 「望様…」 「何?」 声かけたけど、なんて言えばいいの?あの夜からもう10日もたってるよ… 「莉乃…後悔してる?」 望は草を抜きながら、莉乃の方を見ることなく言った。 「……わからないです。あたし…」 望様の事… でも言えない。言っちゃいけない気がする。 「忘れて下さい。あの……望様が今元気なんで、あたしそれで充分なんで!使用人ですから」 無理やり明るく笑って言った。 「本気で言ってるの?」 望は険しい顔で莉乃にいった。 莉乃はその目に耐えきれず、草を抜きながら、明るく言った。 「あっ、当たり前ですよ!でも寛一さんにバレたら怒られますよね!そこまでお世話する事ないんじゃないかって!ねぇ!」 望は無言で立ち上がった。 「望様?」 莉乃は顔をあげた。 望は無表情で淡々と答えた。 「そうだね、そこまでする必要はないよね」 そう言い捨て莉乃の元を去った。 「望…様…」 後ろ姿を見て追いかけたくてしかたなかったが、莉乃は自分に言い聞かせた。 あれでいいのよ!望様には都様がいらっしゃるんだもの! そうよ!あたし間違ってないよ…… 莉乃はそう思いながらまた草むしりを再開した。 「………ひっく…うぅ……あぁ…」 あたしなんで泣いてんの…? 気が付いたら声に出して泣いていた。 泣きながらひたすら草を抜いていた。 全て抜き終わり、袋に草をつめ運ぼうとしたら、玲が通りかかった。 「莉乃……あなたどうしたの?」 莉乃は目一杯笑顔で答えた。 「大丈夫です!薬剤使ったからかな?なんか涙出ちゃ……ってぇぇ」 「莉乃…何があったか知らないけど、泣きたいなら泣きなさい。ね?」 「はい!ありがとうございます」 泣きながら莉乃は言った。 莉乃は涙をふいて歩きだした。 「これ、捨てなきゃ行けないんで!失礼しますね」 莉乃は歩きだした。 玲はしばらく莉乃が歩いてきた方向を見ていたが、無表情のまま歩きだした。 莉乃はごみ捨て場に草を捨て、しばらくごみ捨て場に立っていた。 頑張ろう… 「よし!やるぞぉ!」 莉乃は走って城の中に入ろうとして、ぶつかった。 「申し訳ありません!」 莉乃は頭を下げた。 「本当、ちゃんと見てくださる?」 声を聞き顔を上げると都だった。 「都様」 「あら?…あなた…」 「莉乃と申します」 下から上にみたあと、都はクスリと笑った。 「もう少し綺麗な格好して頂けない?使用人でも、この国の代表する所なのよ」 莉乃は顔をこわばらせた。 「申し訳…ありません。今草むしりをしていまして。すぐ着替え直します」 「まぁ、あなたにはそれがお似合いのようだからいいんじゃなくて」 そう言ったあと、都は手に持っていたハンカチを落とした。 莉乃はそれに気付き、拾いあげた。 「都様、これ…」 莉乃は都に渡そうとした。 「いらないわ、そんな汚れたハンカチ」 すると、後ろ側で声がした。 「都様!こんな所にいらしたんですか?今夜のパーティーの準備をなさらないと」 「あら、そうね……じゃあね、使用人さん」 そう言って、莉乃の元を去った。 莉乃はハンカチを握りしめながらなんともいえない惨めな気分になった。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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