都様と望様が許嫁… いつも城の中でも王子様達のいる部屋の周辺にいるから、逆側のご令嬢の方にはあまり行く事がなく、接点はあまりないし、話し方が好きではなかった…。 でも普通に考えたら、望様だけ今の王様のご子息だから、そういう事があっても不思議じゃない。 優秀な人間を集めると言っても、やっぱり自分の子供に受け継いで欲しいもの… あたし…何してるんだろう…使用人なのに。 たまたまきただけで、たまたま助けてもらって、たまたまあの場所にあたしがいた…から? 望様にとっては誰でも良かったのかも知れない。 あたしが… あたしが…す…き…… なだけ。 噴水の水で遊びながら、噴水にうつる揺れる月を見ながら考えていた。 「夜遊び駄目だろ」 振り返ると光だった。 「光様」 「眠れないの?横…いい?」 莉乃は頷いた。 「なんかあった?いつもの元気ないじゃん」 「いえ…光様はどうしたんですか?この夜中に」 無理やり明るく笑った。 あっ…あきらかに無理してるって思われたかな… 「別に。俺も眠れないから散歩!天気いいから夜空も綺麗だしね」 莉乃は空を見上げた。 「本当…綺麗ですね…」 しばらく二人は無言のまま空を見上げていた。 「そういやないかも…」 莉乃が口をひらいた。 「なに?」 吹き出すように笑い、莉乃は光の方をむいた。 「笑い話になってないの!」 光も言われて笑った。 「そうかもな。でも今朝会った時も笑ってないよ。なんかヤバい事言っちゃたかもしんないけどさ」 その言葉に莉乃は顔が曇った。 その顔を見た光は空をまた見上げた。 見上げたまま光は莉乃の手を握った。 「大丈夫だよ。なんとかなるよ」 光は空を見上げたまま静かに言った。 莉乃も手を握りかえし、手のぬくもりに優しさを感じた。 莉乃は小さく答えた。 「はい…」 その姿を後ろから望が見ていたが、声をかけることなく部屋へ戻った。 戻ると部屋の前で都が立っていた。 「お前の部屋、ここじゃないだろ、戻れ」 望は冷たく言った。 「あの使用人がそんなにいいの?」 その言葉を無視し、部屋の中に入った。 「あの女…」 都は険しい顔のまま廊下を歩いて行った。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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