★パラダイス☆

11

莉乃は朝日が眩しく目が覚めた。
振り返り、望の髪を撫でる。
さらさらだな…
しばらくボーッと寝てる姿を眺めていたが、起き上がり服を着替え部屋を出た。
「今日も働きますか!」
気合いを入れ、莉乃は歩き出した。
外に出ると、光がストレッチをしていた。
「光様。おはようございます」
莉乃は軽く挨拶した。
「早いね……なんで城から出てきたの?」
「あっ……」
莉乃はなんていいか分からず言葉につまった。
光はタオルをとり汗をふいた。
何も言わず莉乃の横を通り過ぎた。
莉乃は振り返ったが、急ぎ足で自分の部屋へ帰った。
朝食の時間がやってきた。
基本的に全員で食事をする事になっている。
王様、王妃様、ご子息、ご令嬢、そして王子様達。
誰も話す事なく、たんたんと食事は進む。
その日1日のスケジュールが確認し、告げられる。
それぞれ個々に席を立っていく。
「望さん」
望に声をかけたのは、現王様のご令嬢である。
「都…何か用か?」
「あら、どうなされたんです?怖い顔して」
「お前に関係ない。用がないなら行くからな」
望は都に吐き捨てるようにいい去った。
「都ちゃん、今日もフラれちゃったね」
「晶さん。聡さん」
都が振り返ると晶と聡が立っていた。
「望は諦めた方がいいんじゃないのか?俺も将来王様よ?俺にしなよ」
「晶さんでは駄目ですわ。望さんじゃないと」
「許嫁なんだから、躍起にならなくいいんじゃないの?」
聡が間をさすように言った。
ガシャン
食器の落ちる音に三人は振り返ると、莉乃が食器を片付けようとしていた。
「莉乃ちゃん!」
聡は莉乃に駆け寄った。
「あの専属の子、使えないわね。失礼するわ」
都は、莉乃を見下した視線のまま歩いて行った。
「莉乃ちゃん大丈夫?怪我しなかった?」
「聡君ありがとう。大丈夫。大丈夫だから…」
晶が二人に近づき言った。
「さっきの会話莉乃ちゃん聞いてたんだろ?」
莉乃は思わず固まってしまった。
「だとしたらなんだよ、晶」
晶はふっと笑い言った。
「俺見たんだよな、今朝莉乃ちゃんが望の部屋から出てくる所」
聡は莉乃の肩を強くもった。
「莉乃ちゃん!本当かい?」
莉乃は何も語らず食器を抱え走りさった。
「ビンゴ!先越されちゃったねぇ聡」
「うるさい」
聡は晶を押しのけ歩いて行った。
「晶!あんまり聡をいじめちゃ駄目じゃないの」
振り返ると玲がいた。
「玲か……だって面白いじゃないか!どっちが勝つかねぇ」
「あら、晶は参戦しないの?」
「そうだなぁ…俺は女だったら誰でも構わないからなぁ…なんならかき回してやろうか?なーんて」
晶は笑った。
「悪い子ね…玲はどうしようかしら」

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